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彼女が部屋から出ると、中原は彼女が戻るのを待っていた。彼女の姿を見るや否や、壁にもたれかかっていた体を起こして、共に昇降機の方へと向かう。





「なんの話しだったんだ?」

「明日わかるよ。」

「明日ぁ?」

「明日、五大幹部会が開かれることになったよ。そこで分かる。」

「はぁ!?五大幹部会!?んなもんあるならとっくに連絡が回って………お前まさか………」

「そのまさか。」





にこにことしたいつも通りの笑顔を向けてくる彼女に、中原はため息をついた。太宰からの発言により後押しされた幹部昇格と森鴎外との正式な養子縁組。とうとうその時が来てしまったのかと、そう思った。





「お前、あいつの代わりは絶てぇしねぇって言ってたろ。」

「私はあの人の代わりをするんじゃない。私にしか出来ない仕事をするために五大幹部になるの。それに、幹部になればお給料も弾むし♡」

「はぁ……」

「でも、中也さんの幹部補佐辞めるのはちょっと残念かも。」

「お前仕事早いから楽だったのになぁ〜……」





「また俺の仕事が増える」と項垂れる中原の肩を彼女はぽんぽんと叩いた。彼女は元々仕事が早く、自分の仕事が終われば中原の仕事にも手を付けていた。しかし幹部になるとなれば、仕事はその分増える。中原の仕事を手伝う余裕だって無くなるかもしれない、というわけだ。





「しかしまぁ、めでてぇ話じゃねぇか。今夜は祝いだな。高ぇ葡萄酒開けるか。」

「え、呑んでいいの?」

「特別だぞ。」

「やった♡中也さんだぁいすき♡」

「わかったから離れろ!!歩きずれぇだろ!」





勢いよく飛びついても、中原はびくりともしない。さすがはポートマフィアきっての体術使いだと、彼女の心は拍手喝采である。しかし離れる気も無く、しっかりと中原の背中にしがみついている。こうなったら梃子でも離れはしないことを中原は知っていた。

「仕方ねぇなぁ……」と溜息をつきながら、彼女の足を抱えておんぶ状態だ。それもまた、いつもの事である。





「あー、でも幹部になったらあの人も一緒か。」

「あの人って誰だ。」

「A。私あの人きらぁい。」

「あぁ……お前会う度に喧嘩してるもんなぁ。姐さんと一緒んなって。」

「私に勝てもしないくせに調子乗ってんのが悪い。」





彼女はぶつくさと彼に対する文句を述べ、中原はそれをうんうん、と頷きながら聞いてやる。いつもの事だ。きっと彼女が幹部になっても、そのいつもの事、は続くのだろう。

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あっきーばか(プロフ) - 初コメ失礼します。志賀くんタイプで性癖です。嫁にください。この作品の推し志賀くんになりました!読んでいてとても面白い作品をありがとうございます‼️更新頑張ってくだせぇ (2022年3月27日 10時) (レス) @page20 id: 43feeb5241 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - 妹系大好きです!太宰さんとすれ違っている感じの夢主ちゃん、気持ちわかる…!!別小説なんですが、おっかな妹とかすっごく好きで!!現在は更新停止になっているようですが、また再開するのを楽しみにしています!!あと!反社とJKも大好きです!応援してます!!! (2022年2月10日 18時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!夢主ちゃんかっくいいぃぃぃぃぃぃい!もはやこの作品での推し夢主ちゃんかもしれない、、、←更新楽しみにしてます! (2022年2月10日 2時) (レス) @page46 id: eaf6e1fdb7 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 花蛸花さんが文スト作品を書いてくれるなんて思ってもいませんでした!しかも太宰さん!嬉しいです!!😭✨更新頑張ってください!!! (2022年2月2日 11時) (レス) id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年2月2日 2時

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