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「何を今更ふざけたことを……光に感化されて頭でも沸き上がったんじゃない?捨てたものをまたもう一度手に取ることは不可能なのよ。」
「元より私は、君を捨てた覚えはない。」
「じゃあなんだって言うの?この状況を簡潔に、分かりやすく説明してご覧なさいよ。あなたの言う家族は、こんなふうに銃を向けてくるような存在なの?」
彼女は太宰を嘲笑うようにそう言った。何も言い返せなかった。この状況を作っているのは紛れもない自分だ。自分の弱さと、臆病さが招いた結果だった。
「…………君は、もし私があの時___」
「お巫山戯はその辺にしとくんだな、太宰。」
Aの肩を組むようにして伸びてきた腕、聞き覚えのある声。あぁ、最悪だ。太宰は自分の声に被せられた忌々しいその声の主を睨んだ。
「そんなに睨むなよ。俺はお姫様のお迎えに来ただけだ。手前らの相手してる暇ねぇよ。」
「中也さん……」
「おら、物騒なもん仕舞え。このまま手前に殺される太宰も見てみたいところだが、首領が待ってる。お前からの消息が絶たれたかと思えば、太宰から怪我してるお前を拾ったって連絡が来た時にはそりゃあ死ぬほど心配してらっしゃったんだ。」
「…………」
Aは静かに銃を下ろすと、それをまたホルスターに戻しため息をついた。少し後ろを振り向くと、そこには三島と志賀も揃っていた。
「Aさん、ご無事で何よりです。」
「お怪我はありませんか……?」
「……えぇ、もちろん。それどころか新品同様の体になってるわ。見る?」
「み、見ませんよ……!」
先程のまでの空気はどこへやら、彼女は志賀をからかうようにして笑っていた。かと思うと、ゆっくりと探偵社の方を振り向く。
「本当にお世話になりました。福沢殿、改めてお礼を申し上げます。」
Aは帽子を胸の前に掲げると深々と頭を下げた。その上司と同じように、後ろの2人も同様に彼に向けて頭を下げる。実によくできた部下だと誰しもが思うだろうが、彼女にとってそれは当たり前の産物である。ここで頭を下げていなければ、右腕を折るくらいのことはされていたかもしれない。
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あっきーばか(プロフ) - 初コメ失礼します。志賀くんタイプで性癖です。嫁にください。この作品の推し志賀くんになりました!読んでいてとても面白い作品をありがとうございます‼️更新頑張ってくだせぇ (2022年3月27日 10時) (レス) @page20 id: 43feeb5241 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - 妹系大好きです!太宰さんとすれ違っている感じの夢主ちゃん、気持ちわかる…!!別小説なんですが、おっかな妹とかすっごく好きで!!現在は更新停止になっているようですが、また再開するのを楽しみにしています!!あと!反社とJKも大好きです!応援してます!!! (2022年2月10日 18時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!夢主ちゃんかっくいいぃぃぃぃぃぃい!もはやこの作品での推し夢主ちゃんかもしれない、、、←更新楽しみにしてます! (2022年2月10日 2時) (レス) @page46 id: eaf6e1fdb7 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 花蛸花さんが文スト作品を書いてくれるなんて思ってもいませんでした!しかも太宰さん!嬉しいです!!😭✨更新頑張ってください!!! (2022年2月2日 11時) (レス) id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年2月2日 2時