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泉の手を何者かが掴んだと同時に、彼女の前に木刀が振り上げられた。それをスレスレで避け、Aは後ろへと飛び退いた。





「うちの社員を誑かすのは辞めてもらいたい。」

「誑かすだなんて、福沢殿は随分と人聞きの悪いことを仰いますのね。」





武装探偵社社長、福沢諭吉。その後ろには、与謝野と太宰の姿があった。泉はハッとして、ゆっくりとその場に座り込んだ。





「これは、貴君の異能のせいか?」

「いいえ、まさか。私の異能ではありません。私の異能については報告がいっているでしょう?」

「恐らくは操心術……催眠の一種だろうね。彼女の言葉には人を惑わす力がある。それも彼女の武器だ。」

「お見事!流石名探偵様々ですね!うちに欲しい人材です!」

「褒めてくれるのは嬉しいけど、僕に催眠は聞かないよ!そんなものに惑わされるようじゃ名探偵は務まらない。」





そう言って薄く笑った江戸川は、帽子の鍔を指先で少し下げた。





「しかし、まさか福沢殿までおいでになるとは思いませんでした。流石、と言ったところですね。ギリギリまで気配がほとんど無かった。……社長様がおいでになったところで、一度話を元に戻しましょうか。私の荷物、お返し願えますかしら。」

「………いいだろう。」

「社長……!?」

「国木田、彼女から押収した荷物を全て持ってきてやりなさい。」

「しかし……」

「彼女に戦闘の意思はない。そうだな、乱歩。」

「ないない。あったら今頃、靴底に隠されたナイフで全員首掻っ切られて死んでるよ。」

「あら、バレてました?」




彼女が靴底に手を伸ばすと、そこから出てきたのは一本のナイフ。そんなところにまで武器を仕込んでいるとは思わずに、太宰までもが目を見開いた。





「さ、社長様のご命令とあれば従う他ありませんね!とっとと持ってきてください。」





国木田は渋々と奥の部屋に向かうと、彼女の内衣、首巻布、ジャケット、外套、帽子、そして武器を彼女の前に差し出した。彼女は順にそれを着て行き、最後に武器を服の中へと仕舞っていき、手首には予備の銃弾を隠した。





「ご返却頂きありがとうございます。」





にこりと笑顔を浮かべた彼女は、手に取った帽子を頭の上にのせた。今までの動作で、何ひとつとしておかしな動作は無かった。本当に戦闘の意思はないらしい。

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あっきーばか(プロフ) - 初コメ失礼します。志賀くんタイプで性癖です。嫁にください。この作品の推し志賀くんになりました!読んでいてとても面白い作品をありがとうございます‼️更新頑張ってくだせぇ (2022年3月27日 10時) (レス) @page20 id: 43feeb5241 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - 妹系大好きです!太宰さんとすれ違っている感じの夢主ちゃん、気持ちわかる…!!別小説なんですが、おっかな妹とかすっごく好きで!!現在は更新停止になっているようですが、また再開するのを楽しみにしています!!あと!反社とJKも大好きです!応援してます!!! (2022年2月10日 18時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!夢主ちゃんかっくいいぃぃぃぃぃぃい!もはやこの作品での推し夢主ちゃんかもしれない、、、←更新楽しみにしてます! (2022年2月10日 2時) (レス) @page46 id: eaf6e1fdb7 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 花蛸花さんが文スト作品を書いてくれるなんて思ってもいませんでした!しかも太宰さん!嬉しいです!!😭✨更新頑張ってください!!! (2022年2月2日 11時) (レス) id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年2月2日 2時

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