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「おや、こんなところに子供がいるなんてね。今晩はお嬢さん。」





そう声をかけてきたのは、黒い外套に身を包んだ、包帯まみれの青年だった。その青年の頬には血らしき赤い液体がこびりついていたが、当の本人は特に気にした様子もなかった。

そこは御屋敷だった。それなりに裕福な家族が暮らしている御屋敷。その御屋敷の、寒くて冷たい地下牢に閉じ込められていたのが彼女だった。先程から上の方が騒がしいとは思っていたが、この青年にもなにか関係があるのだろうか。





「………あなた、だれ?」

「あぁ、すまない。僕は太宰、太宰治だ。」





「どうぞよろしく。」と、その青年は子供相手であるにもかかわらず丁寧な物言いでそう言った。





「そういうお嬢さんのお名前は?」

「…………わからない。いつも、おい、とか、お前って呼ばれてるから………それが名前。」

「ふふっ、君は面白いことを云うね。残念ながら、それは名前じゃないよ。」

「……じゃあ、わたしに名前はない。」

「そうかい。それまた残念だ。それで、何故君はこんな薄暗い埃まみれの地下に閉じ込められているんだい?」

「…………お父様達に云われて。」

「なんて?」

「…………私が忌み子だから。」





そう言って、彼女は瞼の上からそっと目に触れた。





「忌み子……それは、君のその赤い目のせいかい?」





彼女の瞳は美しかった。この薄暗い、ちかちかと電球が点滅する地下室でもその瞳の美しさは見惚れてしまうほどだった。赤、と言うよりも、深紅に近いかもしれない。血を垂らしたようなその赤い目は、人々を引き込む魔性の力でもあるのだろうか。





「………みんな、目は茶色なの。お父様もお母様も、……妹も………わたしだけ、この色なの……だから、お父様は気味が悪いって、、これは呪いだって……わたしをここにとじこめたの。」

「……そうかい。それは随分と理不尽な親だ。」





太宰は牢にかけられた頑丈な南京錠を軽く持ち上げると、外套の衣嚢(ポケット)の中からピンを取り出して鍵穴に差し込んだ。

がちゃり、と音がなり、重たい音と共に南京錠が床に落とされた。その扉はあまり開かれることがなかったのか錆び付いて嫌な音を立てる。

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あっきーばか(プロフ) - 初コメ失礼します。志賀くんタイプで性癖です。嫁にください。この作品の推し志賀くんになりました!読んでいてとても面白い作品をありがとうございます‼️更新頑張ってくだせぇ (2022年3月27日 10時) (レス) @page20 id: 43feeb5241 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - 妹系大好きです!太宰さんとすれ違っている感じの夢主ちゃん、気持ちわかる…!!別小説なんですが、おっかな妹とかすっごく好きで!!現在は更新停止になっているようですが、また再開するのを楽しみにしています!!あと!反社とJKも大好きです!応援してます!!! (2022年2月10日 18時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!夢主ちゃんかっくいいぃぃぃぃぃぃい!もはやこの作品での推し夢主ちゃんかもしれない、、、←更新楽しみにしてます! (2022年2月10日 2時) (レス) @page46 id: eaf6e1fdb7 (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 花蛸花さんが文スト作品を書いてくれるなんて思ってもいませんでした!しかも太宰さん!嬉しいです!!😭✨更新頑張ってください!!! (2022年2月2日 11時) (レス) id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年2月2日 2時

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