・41 ページ41
｢つかそろそろ帰っていい？Aちゃんだってさみぃよなぁ？｣
蘭は手袋を外してAの冷たくなった頬に触れると、その頬を温めるかのように優しくすりすりと撫でる。
｢そうですね、レオも寂しがってるでしょうし。｣
｢ちょ、まだ話は終わってないぞ！｣
｢もー、いいじゃんなんでも。それだから変な女の子ひっかけるんだよ。｣
｢うっ……｣
ぐさり、彼女の言葉が胸に突き刺さった久井は胸元と口を押え、その場にがくりと膝をついた。
｢Aちゃん意外にズバッと行くなぁ。｣
｢なんだァ？てめぇそんな碌でもねぇ女ひっかけてんのか。｣
｢メンヘラ、地雷系、ヤンデレ、異常性癖者、その他諸々。｣
｢その度に私ら巻き込まれるのほんとたまんないからそろそろいい女見つけてくんね？｣
｢いつもいつも私にメンヘラ彼女役やらせてなんとかしようとするのもやめてほしい。｣
｢くっ………｣
｢Aちゃんメンヘラ彼女役とかやんの！？｣
｢はい、やります！仕方なく！｣
ニコリと笑いながらそういった彼女に、竜胆は想像がつかないようで、ぽけぇ〜とした様子で明後日の方向を向いていた。
｢中学は演劇部だったんですよ！最優秀賞取ったことだってあるんですから！｣
｢芸能事務所からのスカウトもあったし、高校だって専門学校からの推薦いくつも来てたな。｣
｢Aのメンヘラはマジで怖ぇわ。トラウマもん。｣
｢俺も殺されるかと思った。｣
｢私はどんなAでも好き♡｣
｢んーっま♡｣と可愛らしい効果音をつけながら彼女に投げキッスを飛ばすと、彼女もまたそれに返すようにして本庄に投げキッスを返す。しかし、蘭はそれを掴むように彼女の前で手を動かすと、ぱくりとそれを食べる。
｢あー！！！何すんのよこの七三パープル！！！｣
｢Aちゃんの愛は俺のもの♡｣
｢気色悪ぃんだよクソ灰谷！！！！｣
｢Aすごいなぁ〜演技出来んのか。昔から器用だったもんな。俺の知らねぇところで立派になって……｣
明司はしみじみとした様子で彼女の頭を撫でると、｢すごいなぁすごいなぁ｣と何度も褒める。父親らしいことをしてやれない分、とことん娘を甘やかす。
ここまで成長する間の彼女を知らないので、何が好きで、何が得意で、何が苦手で、何ができない、なんてことをなにも知らないのだ。それがなんだか悔しい反面、まぁ、当たり前だよなと、自分を嘲笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、？ (2021年12月1日 1時) (
レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました！好き！応援してます！ (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません､20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか？ (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます！花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの？？え？なんでこんなに、文才あるの？え？神様って不公平だね。てか、神様っているのかな？、、、あ、挨拶が遅れてすみません！結菜です！花蛸花さんの作品好きです！面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年10月30日 2時
