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過去に、正和が大寿の元に挨拶に来た時の事だった。柴大寿という男がどんな男か知りながら、自分の妹を｢実はAとお前は血繋がってんだよ！｣と笑顔で紹介してきた。彼女との面識はあったが、正和とは彼女の迎えの時にたまにちらりと会うくらいで特別な会話をしたことがなかった。ただ、黒龍時代に王の守刀として名を馳せていたことだけは知っていた。
彼は言った。血を分けた兄妹なのだから仲良くしてやってくれよ、と。大寿はその小さな体をいつか壊してしまうんじゃないかと恐れたが、彼女もその兄もそんな心配なんてしていないといった様子だった。
その数日後に連れてこられたのが、明司武臣だった。今はスーツを着て身嗜みに気を使っているようだが、当時は髪は伸ばしっぱなしで無精髭を生やしていた。
"『俺になにかあったらこいつにAを任せる。俺も信頼してるやつだから、お前にも会わせておきたくてさ。あ、お前のこと信頼してないとかじゃねぇよ！？これは昔から決めてたことだ！』"
それが明司武臣との出会いだった。いつの間にか、明司は姿を消し、いつしか自分の元に流れ着いた情報では梵天にいるのだと言うことがわかった。わざわざAに言うことでもないだろう、と大寿はAには何も言わなかったが、警察関係者でもそれなりに上の立場にいた正和の元には、その情報はきちんと渡っていたのだ。正和はそのことについて特に怒った様子でもなく、｢反社にAの事預けんのか〜｣と呑気に笑っていた。
そもそも、正和にもしものことがあるはずがない。と、大寿も信じて疑わなかった。しかし、別れというのは突然にやってくる。正和の葬儀にはたくさんの人間が出席した。親族側は、Aのみ。父親は仕事のようだ。母親の葬儀の時も来ていなかったらしく、なんとも薄情なやつだと思った。しかし、その秘書である松乃井は出席していた。正和の亡骸を前に、ぽろぽろと涙を流していた。
Aは無だった。まるで感情が抜け落ちたかのように、目に光を宿さずただ棺桶の中で眠る兄を見ていた。
"『………A。』"
大寿が彼女の名前を呼ぶと、その目はしっかりと大寿を捉えた。そして、にこりと小さく笑う。
"『大寿くん、今日は来てくれてありがとう。』"
いつも通りの笑顔なのにいつもと違う。それが、嫌に気味が悪くて、ぞわりとした何かが背筋をはしった。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、？ (2021年12月1日 1時) (
レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました！好き！応援してます！ (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません､20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか？ (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます！花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの？？え？なんでこんなに、文才あるの？え？神様って不公平だね。てか、神様っているのかな？、、、あ、挨拶が遅れてすみません！結菜です！花蛸花さんの作品好きです！面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年10月30日 2時
