・29 ページ29
「おいおい交通法守れよ〜」
「お前が言うな。」
三途はそう言い放つと、げしげしと運転席のシートを蹴りまくる。後でその足切り落としてやるからな。そんなことを考えながら、信号が青に変わるのを確認してアクセルを踏む。別に無視してやっても良かったのだが、子供のお手本になるのが大人の役目だよな♡と、余裕を持って教会に向かっているのだ。
「なぁ、さっきの、大知と姫莉と勇作って言ったな。」
「あん?なに、明司知ってんの?」
「知ってるも何も、昔よく顔合わせてたからな。春千夜も会ったことあるんじゃねぇの?」
「あ?……あー!あのクソ生意気なガキどもか!!!」
「いや、誰だよ。」
思い出した思い出した!と三途がケラケラと笑っている隣で、竜胆だけが蚊帳の外だ。そんなの当たり前である。竜胆はまだ彼らと顔を合わせたことがないのだ。明司も三途も、Aに「お友達!」と彼らを紹介された日のことをちゃんと覚えている。
彼女らが稽古先で知り合ったのは幼稚園の頃だっただろうか。その頃から仲が良く、小学生に上がれば同じ学校、同じクラスだった。知り合ったのは幼稚園の頃だが、説明するのが一番無難であろう小学生の頃から、ということにしている。
「Aちゃんの幼馴染。話したことあったろ〜?」
「あぁ、そういやぁそんなこと……え、兄貴めちゃくちゃ嫌われてんじゃん。」
「嫌われてんじゃねぇの、警戒されてんの。普通はそうだろ、なんの仕事してるのかもわかんねぇやつが友達の男だっつって突然現れたら。Aちゃんが警戒心無さすぎんだよなぁ……」
「どー見ても嫌われてたろ。」
そんな竜胆の呟きを無視するかのように、「最近の子供は警戒心が強くて感心だよな〜♡」なんて笑っている。
さっきの彼らの様子を見れば、灰谷蘭を敵視していることくらい丸わかりだった。スピード出しまくり、オマケに信号無視。警察がいれば確実に止められていただろう。時代が時代なので彼らのように無免許というわけでもなさそうだ。結構運転上手いな、なんて少し感心してしまう。
「あいつらもバイク乗るようになったか〜そりゃそうか、高一なんだからバイクの免許くらい取れるわな。」
「何ジジくせぇこと言ってやがんだ。あ、そうだったわもうジジイだったわ!!!」
「三途うるせぇおろすぞ。」
2166人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時