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ぼちゃん、と海に飛沫が立つ。まだ抵抗する力があるそれは、最後まで芋虫のようにうごうごと動いていた。いつもならバラして色んなところに捨てられるわけだが、その日は生きた状態をそのまま海に放り投げた。たまにある事なので、他の幹部たちは特に何も言う素振りを見せなかった。
ただし、その後の後処理を任されている九井と鶴蝶は少し不満気だ。そこまでやるなら最後の後処理までやれよ、と。Aのため、Aのため……と自分に言い聞かせて、とりあえず深呼吸。
｢うっわ、血ぃついてる……Aちゃんごめん〜｣
｢Aちゃん怒ったりしねーの？｣
｢怒りはしねぇけど、血って落とすの大変らしーわ。いっつもあのちっちゃい手で一生懸命洗ってクリーニング出してくれる。｣
｢そんくらい自分でやれや！｣
｢Aちゃんが私がするって聞かねーんだもん。そのままクリーニング出すっつっても血くらい落とすって。｣
｢健気すぎて涙出そう。｣
竜胆は目頭をグッと抑えながら天を仰ぐ。彼女が健気で純粋で優しくて可愛い事くらいずっと前から知っていたがここまでとは思っていなかった。毎日暖かい食事を作ってシャツにもアイロンをかけて、洗濯して掃除して仕事から帰る兄の帰りを待つ上に、どこの誰かも分からない人間の血まで洗ってくれるAちゃんに兄貴は感謝しろ。
そもそも、反社だと分かっていながらそばにいて、ほぼ毎日血をつけて帰ってくるのにも文句を言わずに｢お仕事お疲れ様でした｣と笑顔で言えるほど蘭を好いているけなげで乙女なAに申し訳なさすぎてもはや涙出る。てか出たわ。
｢……兄貴、Aちゃんのこと大事にしろよ。絶対だからな。婚期逃すぞ。｣
｢当たり前だろ〜？兄ちゃんの心配より自分の心配しろな♡｣
｢Aちゃん見てたらその辺の女と結婚してぇとか思えねぇだろ。｣
｢ったりめぇだろ。うちのAは世界一の女だからな！！！！｣
｢Aが可愛いのなんて世界が認めてる。世界遺産レベル。無料で拝んでいいコンテンツじゃねぇ。｣
｢財布をしまえ。｣
何かにつけてAに貢ごうとする九井の財布を、明司がぐっと押さえつける。こんな頭のおかしい連中に囲まれたAが不憫で仕方がない竜胆は涙が止まらなかった。これほんと。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、？ (2021年12月1日 1時) (
レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました！好き！応援してます！ (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません､20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか？ (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます！花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの？？え？なんでこんなに、文才あるの？え？神様って不公平だね。てか、神様っているのかな？、、、あ、挨拶が遅れてすみません！結菜です！花蛸花さんの作品好きです！面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年10月30日 2時
