反社(本業)とJK【東リべ】

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店を出てしばらく、街に並ぶ出店には、年頃の女の子の目を引くものなんていっぱいあった。しかし、彼女は物欲があまりないようで、いいなぁと思ったものでもすぐに元の場所へと戻してしまう。





｢なんも欲しいもんない？｣

｢んー、どれも可愛いんですけど……特別欲しい訳でもないですし……｣

｢Aちゃんまぁじで欲がねぇな。欲しいもんあったらすぐ言いなよ？｣

｢はい！｣




今まで欲の塊のような女としか付き合ったことのない蘭にとって、ここまで物欲のない女は初めてだった。付き合う、と言っても、彼女のような丁寧な扱いなんて少しもしたことはないが。そもそもデートなんて真面目にしただろうか。仕事の取引で仕方なくならあったような気がしないでもない。





｢あ、蘭さん蘭さん。｣

｢んー？なんか欲しいもんあったぁ？｣

｢これなんですけど……｣





そう言って彼女が手に取ったのは、なんとも緩い犬のイラストがついたペアのマグカップ。





｢これ、蘭さんとお揃いで使いたいなぁ〜って……｣

｢くそ可愛いな……え、でもそんなもんでいいの？｣

｢はい、、！蘭さんと一緒に使いたいです……！｣

｢買うわ。｣





恋人からの可愛いお願いを聞かずしてどうするよ、と蘭はそのマグカップを購入した。可愛くない時なんてないのでなんでも買ってしまう訳だが、お揃いでなんて言われたら喜んで買うに決まっている。

購入したマグカップを渡すと、Aは｢ありがとうございます！｣と嬉しそうに笑った。大して値段も張らないようなマグカップ一つでここまで喜んでくれるならお易い御用だ。





｢他に欲しいもんあるー？｣

｢幹部の皆さんにお土産買っていきます？｣

｢なんか適当に菓子でも買ってこ。｣





せっかくだから、と少しお高いクッキーとラスクを土産に買って、買い物は終了した。





｢そろそろレストランの予約の時間だから、車行こーか。｣

｢はい！たくさん買っていただいて、ありがとうございます、！｣

｢俺がしたくてしたからな〜これからも欲しいもんあったらいいなよ？なぁんでも買ってあげるからな♡｣





金は腐るほどあるので破産することなんて余程のことがない限りあるわけがないのだが、彼女のためなら破産するまで金をつぎ込める自信がある。

しかし将来のことを考えるとそれは困るので程々にしておこうと思う。多分。

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