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12月になり、肌に触れる空気がちくちくと肌を刺激してくる季節になってきた。暖房の効いた事務所内は快適である。こんな寒い日はコーヒーでも飲んでいたいところだが、ブラックコーヒーもゲロ甘になるような惚気話を聞かされていれば飲む気にもなれない。
「なぁりんど〜」
「なに。」
「Aちゃんってなんであんな可愛いんだと思う?」
「その質問、34回目だぜ兄貴。」
本日34回目。そう、34回目である。ことある事にため息をついたかとおうと、なんでだと思う?と問うてくる兄に、竜胆はため息をつく。付き合って満足してしまわないか、最後までちゃんと愛しぬけるか、と心配なところはいくつもあったが、そんな心配は不必要だった。
満足するどころか、蘭のAへの愛は増すばかり。毎日惚気けては、Aちゃんが可愛い可愛いとデレデレと鼻の下を伸ばしている。三十年近く連れ添っているがそんな顔は一度も見た事がない。
「昨日なんてなぁ、レオと二人で昼寝してたんだけどな〜めちゃくちゃ可愛くってさ〜思わず写真撮った。」
「なにそれ送ってよ。」
「は?やだわ。」
「可愛い義妹の写真くらい共有しろよ。」
「お前気がはえーんだよ〜仕方ねぇなぁ〜」
ちょろ、なんて言ったら写真は貰えないので何とか押しとどめる。竜胆も竜胆で、日に日にAを溺愛するようになってしまい、最近は義兄ちゃんと呼ばせようとしているのだ。つまり、人の事をとやかく言えないのである。
「は?俺の義妹めちゃくちゃ可愛いな。」
「だろ?俺のおかげで義妹になるんだからありがたく思えよ。」
「お前らさっきから好き勝手言ってやがるがなァ、嫁に出すなんざ俺は認めてねぇんだよなぁ!?」
「お義父さんがいいって言った。」
「言ってねぇよ。お義父さんって呼ぶんじゃねぇ。」
目の前で、呆れているのかキレているのか分からない明司が、タバコを片手にため息をついた。正直な話、まだ彼女は高校生なのだからいつどこで心変わりするかなんて分からないわけだ。しかし、彼女も彼女で蘭にベタ惚れなのでその心配もなさそうなところではある。
しかし、義理の叔父である立場の三途はもう少しまともな人間と結婚して欲しいのが正直な話だ。蘭はヤク中にまともな正論を謳われた時には、思わず椅子から転げ落ちそうになった。みんな鶴蝶をゴリ押すので最近のライバルは鶴蝶である。なお、鶴蝶はいい迷惑である。
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Liezabeth Gillies(プロフ) - 中高生が書くような文章ではなくしっかりとした文才があり安心して作品を楽しめます。ところで、どのような結末になるのでしょうか。着地点はどこに、、? (2021年12月1日 1時) (レス) @page43 id: f20a915395 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 面白くて一気読みしました!好き!応援してます! (2021年11月10日 19時) (レス) @page22 id: 1f03340a86 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみません、20話の『頭のおかしい練習に囲まれて』は『頭のおかしい連中に囲まれて』の間違いではないですか? (2021年11月8日 3時) (レス) @page20 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - 文章力ものすごいのに、ギャグ線強くて好きです♡前編からずっと読んでます!花蛸花さんのペースで頑張ってください💪 (2021年11月7日 12時) (レス) @page21 id: 4a45715550 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - 好き、、なんで、こんな、作品作れるの??え?なんでこんなに、文才あるの?え?神様って不公平だね。てか、神様っているのかな?、、、あ、挨拶が遅れてすみません!結菜です!花蛸花さんの作品好きです!面白すぎて一気見しました!!! (2021年11月4日 18時) (レス) @page18 id: 05b53aed2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月30日 2時