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｢イヌピー……その子どうしたんだ？｣
｢預かった。｣
｢預かった……？｣
呼び出された九井が待ち合わせの場所に行ってみれば、乾の腕には小さな少女が抱かれていた。数年前、知り合い経由で出会ったその少女は随分と乾に懐いたらしく、その日乾に会いたいと兄に駄々を捏ねたのだそう。
｢いぬぴ！｣
｢ん？｣
｢みて！｣
｢おー、上手いな。｣
乾の腕の中であやとりをしていた少女は、見てくれ見てくれときらきらとした笑顔で乾を見上げていた。彼も彼で、満更でもなさそうに彼女の頭を撫でた。
｢こいつ、A。｣
｢へぇ……｣
｢A。自分の名前言えるか？｣
｢ん！きりゅ、うAです！｣
あやとりの紐から顔を上げた彼女は、にぱっと笑顔を浮かべた。｢さんさい！！｣と手を出したその手の指は、しっかり四本の指がたっていて、九井は思わず吹き出した。
｢A、それは四だ。三はこう。｣
｢こ？｣
｢それは二。｣
｢こう。｣と乾が指を三本立たせて見せれば、Aは真似するように指を立てる。なかなか三本にならないその指に、乾は苦笑いだ。
｢俺は九井一。ココって呼んで。｣
｢こお？｣
｢ココな。コが二つ。｣
｢ここ！！｣
彼女は目尻をふにゃふにゃと下げて、にぱっと笑う。庇護欲、というのだろうか。その子を守ってやりたい、なんて柄にもないことを自然に考えてしまう。
｢今日一日、こいつの遊び相手することになってる。｣
｢あぁ、そういうこと……いいぜ。Aはどこ行きたい？｣
｢んー……｣
右手を頬に添えてわざとらしく首を傾げる仕草に小さく笑う。やっぱり女の子。可愛らしいポーズをとりたがるお年頃のようだ。
｢おなかすいた！｣
｢お腹すいたか……じゃあ美味いもん食いに行こう。｣
｢うまいもん！｣
｢A、女の子なんだから真似すんな。美味しいもの、な。｣
｢おいしいもの？｣
｢そう。｣
｢おいしいもの！！！｣
珍しくお兄さんぶる乾は、自分たちの言葉を真似してしまうAにちゃんとした正しい言葉を教え直していた。子供の前だとそんなふうなのか、なんて少し微笑ましくなる。
その日一日で、九井の携帯のフォルダは二人の写真で埋め尽くされ、彼女にこれでもかと言うほどのヘアピンや髪留めを買い与えた。
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鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます！！ (2021年10月30日 10時) (
レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています！ (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも楽しく読ませていただきます！ (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年10月16日 2時
