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「……俺がお前の父親になってやるから待ってろ。」
「そんな事したら明司に殺されるから落ち着け。」
「よっこらしょ」と腰を持ち上げようとする望月の肩を押さえつけ、何とかソファーへと腰を下ろさせる鶴蝶。正直気持ちは分からなくもない。頭を抱えたくなるほどに純粋なその言葉に涙が出そうになる。なんなら泣きそう。九井に至っては目元を隠して静かに泣いている。ぷるぷると肩を震わせて泣いている九井に酷く同情した。
「……A、後でお小遣いやるからな……口座教えろ。」
「口座がないと渡せないほどのお小遣いって何……?お小遣いなんていらないよ……」
「いいや、それじゃあ俺の気が済まない。とりあえず100万でいいか?」
「ココくん……?」
「足りないか?もっとか?」なんてまだ涙の跡の残る顔で迫られて少し恐怖を感じてしまったAは、どうしたもんかと困り顔だ。そんな彼女を救出するべく鶴蝶は「すまん、ココ。」と一応謝罪をした後に手刀で眠らせる。現在3徹目の九井には、彼女の純粋さは少々刺激が強すぎたらしい。
「悪い、疲れてるんだ。許してやってくれ。」
「い、いえ……だ、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。寝たら治る。」
多分。寝たら治る。多分。本当に多分だ。この男は金だけは腐るほどあるので、素面でも彼女に金を貢ぐ可能性がある。過去にも沢山のプレゼントを贈っていたという話を聞いていたのでそんな不安しかない。何とかしないとな、と鶴蝶がげっそりしていると、談話室の扉が開いた。
「あ?ココ寝てんのか。……モッチーはなんで頭抱えてんだ?」
「……明司、俺は今日からAの父親になる。」
「何言ってんだクソガキ。」
それなりにダンディーな見た目をした望月にクソガキだなんて似合わないにも程があるわけだが、明司の年齢からしてクソガキには変わりない。「あれ、同い年じゃ……」と戸惑う彼女に、灰谷兄弟と同い年だと鶴蝶が伝えると、驚きすぎてぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
望月は何も悪くない。ただ灰谷兄弟が異次元級に老けないだけで。
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鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時