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身体は年齢の割に小さくて、それでも顔つきは聞いていた年齢にも合致するであろう少し大人びた顔つき。でもころころと変わる表情はやはりまだ子供だ。まだまだ遊びたい盛り。楽しいことも沢山あるだろう歳だ。この頃の自分はまだ少年院にいただろうか、なんて考える。
「A、って言ったよな?」
「はい!」
「お前すげぇなぁ。」
「……え?」
突然褒められてしまい、何が何だかといった様子でAは首を傾げた。
「俺がお前くらいの歳の頃はネンショーに居たからな。それでなくても学校なんて真面目に行った試しねぇわ。」
「勉強はしてて損は無いからなって兄によく言われてたので……」
「毎日家事して休まず学校行くんだろ?立派なもんだわ。」
それに加えて、愛する兄の死の真相を探るために日々努力を重ね、父親からの暴力にも理不尽にも毎日毎日耐えてきた。柄にもないが、そんな彼女が立派だと思ってしまう。自分には到底出来ないし、まず誰かのために暴力にに耐えるなんて考えを持ち合わせていない望月は、小さな彼女が立派だとさえ思えた。
「ほんと、今日までよく耐えたわ。偉いなお前。」
ガシガシと少し乱暴に頭を撫でてやると、Aは大きな目からぽろぽろと涙を零した。望月と鶴蝶はギョッとして目を見合せたあと、九井の方を振り向いた。
「何やってんだよモッチー……!?」
「いや、悪ぃ……強く撫ですぎたか?」
「この子は女の子なんだから力加減考えろよ!特にアンタは馬鹿力なんだから……!」
「ちが、……すみません、違うんです、、!」
ぶんぶんと首を横に振って否定の言葉を述べる彼女に、彼らは首を傾げた。Aはまだ少し流れる涙を指先で拭って、小さく笑った。
「なんだか、望月さんお父さんみたいだなって……優しいお父さんがいたらこんな感じなのかなって思ったら、嬉しくなってつい……」
「すみません、」と困ったように眉を下げて謝る彼女に思わず泣きそうになる。こんな些細な褒め言葉さえ貰えなかった彼女にとって、当たり前の日常を褒められるのは新鮮で、何よりも嬉しかったのだ。
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鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時