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「…………はぁ…………で、理由は?」





真希は大きく息を吐くと、彼にそう訊ねる。





「…………世界を見たかったんだよ。世界には様々な人間いる。貧困の無くならない国、裕福な国、戦争が行われている国………そこで暮らす様々な非術師を見れば、術師を続けるのにふさわしい人間になれると思ってね。」

「………嫌いか、非術師。」

「分からない。………私は、何も知らずにのうのうと生きている奴らが嫌いなんだ。そんな人間と同じにはなりたくない。だから世界を見る。」

「………………お前の気持ちはよく分かった。」





そう言って、彼女は足を組みかえた。正直彼が勝手に海外に行くことを決めて腹が立っていた。それと同時に、その決断を揺るがすことは不可能だということを理解していた。

一度決めたら揺るがない。それは昔から変わらないのだから。





「はぁ…………そういうの、出てきてから決めろよ。バカかお前。」

「…………ごめん。」

「………今回は許す。でも次勝手に決めたら別れるから。」

「それは無理。」

「じゃあ勝手に決めるなよ。…………おかえり、A。」





話して満足したのか、先程よりも柔らかい表情で手を広げた。すると、Aは少しきょとん、と目を見開いたあと、彼女をグッと自分の方に引き寄せる。

膝に座らされると、骨が折れるんじゃないかと言うほど強く抱きしめられる。





「痛い。離れろ。」

「ごめん無理。」

「……はぁ……赤ちゃんかよ。」





そんなことを言いながらも、彼女は嬉しそうに微笑みながらわしゃわしゃと彼の頭を撫でる。





「良かったな、死刑にならなくて。」

「ほんとにね。」

「…………まじで焦った。」

「……………なんか痩せた?」

「誰のせいだと思ってんだ。あ?」

「ごめん………悪かったと思ってるよ。私は生きてるから。」

「勝手に死んだら殺す。」

「え、死んでるのに殺されるの?」

「…ふふっ、あぁ。お前を殺していいのは私だけだからな。」

「物騒なこと言うなよ………」





怯えたように身震いをするAに、彼女はまた笑った。そしてもう一度、おかえり、と呟いた。

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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時

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