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無意識に溜息が零れる。
この台本はまるで_________。
私が台本を一通り読み終わった頃。
膝元で「うぅん...」という声が聞こえた。
ふと其方に目を向けると、
すやすやと眠っていた輝夜が目を擦っている。
「おはよう」
「おはよ〜、どれくらい寝てた?」
「さぁ...?貴方が来たのが何時か知らないもの。
この台本に一通り目を通せるくらいの時間は、
寝ていたみたいだけれど」
「この台本、新しいドラマの.....?
お姉ちゃんの役どれだろ〜」
楽しそうに台本をぱらりと開いた彼女は
ほんの少し驚いたようにこちらを見る。
「お姉ちゃんが、プロデューサーの役.....?」
「そのようね」
こくりと頷いてみせれば、
輝夜が原案を出した者の名を探そうとする。
私も見たが名は記されていなかった。
普段書いてあるそれの代わりなのか
【夢ノ咲学院】と記されていた。
「お姉ちゃん、これって.....」
不安気に、そして嬉しそうに、
きらきらと輝かせた瞳を向けてきた彼女に対し、
「一度、先生方に聞く必要があるわね」と返せば、
「今から聞きに行こ〜♪」なんて上機嫌に笑っては
私を演劇科の職員室まで引張った。
「失礼しま〜す♪」
職員室の扉を開いては
遠慮なく室内に入っていく輝夜。
先生方は少し驚いたような顔をするけれど、
彼女が手にしている台本を見てか納得している。
「この台本、プロデューサーって言うか、
プロデュース科にいる主人公みたいな節があるけど
一旦プロデュース科に来る〜って事でいいの?
お姉ちゃんが来てくれるなら
プロデュースして貰いたいな.....♪」
「まだこの仕事を引き受けてはいないのだけれど」
私がそう言えば
輝夜は「えぇ...」と残念そうな顔をした。
「あれ?先輩、引き受けてくれないんですか?」
私の後ろからそんな声が聞こえた。
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