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174、スカウト ページ9

「追風A」

もうすぐ学校が見え始めるところで、セレディ先生に声をかけられた。

あいにくそこには私しかいない。ほかの人たちは美都先生に昨夜の事を報告すると、
先に行ってしまっていた。私もそれに同行するつもりだったのだが、気がついたと
きには、みんなはもう寮を出てしまっていた。

……声くらいかけてくれればよかったのに。

「セレディ、先生」

彼は、突然現れた。気がついたら、そこにいたのだ。驚いて、声がつまる。

セレディ先生はワールドセイバーの一人だ。世界的なテロ組織の一員。何をされる
のか、わかったものではない。いつでも逃げられるように、誰かに助けてもらえる
ように。と周りを見てみたけれど、運が悪いのか何なのか、さっきまでいたはずの
登校途中の生徒たちは、誰もいない。

つまり、ここにいるのは私とセレディ先生だけ。

「怯えることはないですよ、追風さん。私はあなたを、傷付けはしない」

いつも浮かべている、不適なほどにこやかな笑みを、今も先生は浮かべている。

「昨日は瀬名アラタのところへ行ったんだ。スカウトをしにね。断られたけれど」

「ではなぜ、私のところへ?」

「もちろん、君もほしいからさ、追風A」

その言葉を聞いて、胸の奥が、いちばん触れられたくないところが、ズキンと痛む。

またロシウスのときのように、脅しのような事を言われないだろうか。私はまた、
同じ事を繰り返す事になるのだろうか、と不安でいっぱいになる。

でももう、迷わない。今度こそ、逃げたりなんて、しない。私の答えは、もう決
まっている。

「いやです」

きっぱりと、そう言い切ってしまう。私はもう、仲間を裏切ったりするような事
はしたくない。もう、あんな目で見られるのはいやだ。

もう一度同じ事をしてしまえば、私は今度こそ戻ってこられなくなる。あの場所
へ。居場所を見つけられなくなってしまう。

「そう、わかったよ」

一瞬驚いたような顔をしたけれど、セレディ先生はそれ以上何も言ってこなかっ
た。思ったより簡単にあきらめた先生は、君も早く学園長室に行った方がいいの
では? とそう一言残して、どこかへ行ってしまった。

それもそうだ、と頭を切り換えるように、私も足早にみんながいるであろう場所
まで向かった。


でも、なぜ私とアラタなのだろう。それを考えたとき、唯一浮かんだ大きな共通
点。

それは、どちらもオーバーロードを使えるという事。

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ラッキーキャラ

法条ムラク


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陽竜☆ - ちょー久しぶり!覚えてる?更新頑張って(о´∀`о) (2015年3月16日 18時) (レス) id: 6900af9726 (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 七瀬 暁さん» ありがとうございます。最近ほとんど更新できていなかったのですが、それでも読んでいただけると嬉しいです (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 美月さん» 久しぶり、返信遅くなってごめんね!中学校ってテストばっかりで大変だよね……。更新速度はどうなるかわからないけど、これからもよろしくね (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 暁(プロフ) - 凄く面白いですね!更新頑張ってください! (2015年1月10日 10時) (レス) id: a489451506 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 風陣歌唄さん» お久しぶり!期末テストとかで忙しくてあまり読めなかったけど・・・。続編おめでとう!これからもがんばってね('=')あ、私は無事に中学生になれました!空手部に入ったよ(><) (2014年12月23日 13時) (レス) id: 598d5a56fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風陣歌唄 | 作成日時:2014年8月3日 10時

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