171、なんてね ページ6
「A、もうひとつ、言わなければいけないことがある」
寮に帰って落ち着いた頃。娯楽室でユノたちと話をしていたとき、ムラクに名前
を呼ばれた。
ムラクを見ると、ここでは話せないとでも言いたげな顔をしていたので、ユノたち
に一言断ってから場所を移した。
「ほかの人がいるところじゃ話せない事って、なに？」
「たぶん、ジェノックの奴らは知っている事だと思うのだが、お前にだけは、まだ
伝えていなかったと思ってな。ちょうど、お前がウォータイムを休んでいたとき
だったのもあるんだが」
私にだけは言っていなかった事、というのはいったい何なのだろう。セカンドワー
ルドの事だろうか。それとも、まったく違う事だろうか。
どう伝えるべきか考えているのか、少し間を置いて、ムラクは再び口を開く。
「……俺たちがやっているのは、本当の戦争だ」
「は？」
何を言っているのか、一瞬、わからなかった。
本当の戦争？ 私たちがいつもセカンドワールドでやっていたのは、世界平和を維持
するための戦争シミュレーションなどではなくて、本当の戦争。
という事は、
「その結果が、現実世界に反映されるとでも？」
「ああ、そうだ」
ふっ、とめまいに襲われる。倒れそうになったが、体の芯に力を入れて、なんとか
堪えた。
「それじゃあ、国の主導者たちは、国家の存亡を、私たち子どもなんかに託してい
るというの？」
そんな考え、普通ではない。最近戦争の報道がなくなってきたと思っていたら、こ
ういう事だったのか。
でもそんな大事な事を、ムラクはずっと黙っていたなんて。たしかに私の精神状態
は、安定していなかった時期もあったのだけど。それでも、仲間だと思ってくれて
いるなら、もっと早く教えてくれてもいいはずだ。
「……そんな大事な事、ずっと教えてくれなかったなんて」
「それは……」
ムラクは優しいから、私の事を気遣って、ずっと伝えないでくれたんだ。言わなか
ったのは自分の事で、目の前の事で精いっぱいだった私を、これ以上混乱させない
ため。
「信じていたのは、私ばっかり」
「すまな…」
「……なーんてね」
わかってるよ、とムラクに背を向ける。一度振り返って、ぺろりと舌を出した。
「お前はこういう事を真顔でするから怖い」
聞こえないふりをして歩いている私の後ろを、演技なんてどこで覚えた……とぼや
きながらついてきているムラク。
それさえも、聞こえていないふりをした。
ラッキーキャラ
法条ムラク
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陽竜☆ - ちょー久しぶり！覚えてる？更新頑張って(о´∀`о) (2015年3月16日 18時) (
レス) id: 6900af9726 (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 七瀬 暁さん» ありがとうございます。最近ほとんど更新できていなかったのですが、それでも読んでいただけると嬉しいです (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 美月さん» 久しぶり、返信遅くなってごめんね！中学校ってテストばっかりで大変だよね……。更新速度はどうなるかわからないけど、これからもよろしくね (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 暁(プロフ) - 凄く面白いですね！更新頑張ってください！ (2015年1月10日 10時) (レス) id: a489451506 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 風陣歌唄さん» お久しぶり！期末テストとかで忙しくてあまり読めなかったけど・・・。続編おめでとう！これからもがんばってね（'＝'）あ、私は無事に中学生になれました！空手部に入ったよ（＞＜） (2014年12月23日 13時) (レス) id: 598d5a56fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風陣歌唄 | 作成日時：2014年8月3日 10時
