【ダンボール戦機ウォーズ】隊長と私６ ―平和への祈り―

169、退却 ページ4

「全機退却!!」

ドォン、と何かが爆発か破壊された音が建物内に響いたのと同時に伝えられた、ハ
ルキからの退却命令。

それが妥当だろう。ジェノック側には私のを含む新型機が二機あるものの、バンデ
ットに比べると戦力は劣る。負傷している機体もいくつかあるようだし、このまま
戦い続けるのは不利だ。賢明な判断だろう。

その命令が聞こえてすぐに、ほかの小隊の機体は引き上げていく。私もそれに続こ
うと、とりあえず近くにいたバンデット機を振り払う。

拠点を奪取しきれなかったのは悔しいところだが、仕方ない。

ハルキが開けたのであろう壁の穴から出て行くみんなの後ろについて、私も退却し
た。




「サクヤ」

ウォータイム後の反省が終わるとすぐに、サクヤの元へ駆け寄った。

「……LBXありがとう。高性能で、驚いた」

「でしょ？ 僕もね、LBXの技術は進歩したなって思ってさ。でも扱いづらくなかっ
　た？ 調整頑張ってみたんだけど、時間がなくて……」

「うん、少しだけ。反応が速かったから。でも、全然問題ないレベル」

申し訳なさそうにごめんね、と頭をかいたサクヤにそう声をかける。私のその言葉
にサクヤは、安心したのか笑顔になった。

メカニックなのだから、やっぱり自分の作ったLBXをほめられると嬉しいのかもしれ
ない。

「おーいA、帰るぞー」

後ろから、バネッサが私を呼ぶ声が聞こえた。振り返ると、第６小隊のみんなが、
出口で待っているようだった。

「じゃあ、私はこれで。本当にありがとう、小隊も違うのに」

「ううん、いいよ全然。帰ってきてくれて嬉しいよ、A。小隊が違うのは少し
　残念だけど……。これからも、よろしくね」

「そう言ってもらえると嬉しい。アラタとヒカル、それから隊長にもよろしく言っ
　ておいて」

また寮で会う事になるのだけど、あいさつをして、それから待っているバネッサた
ちの元へ向かった。

遅くなってごめん、と謝るとバネッサは笑顔のくせに、待たせんな、と私の背中を
バシンとたたいてくる。

「痛い、やめてバネッサ」

「真顔で言うな」

「はははっ」

少し口論気味になっている私たちの横で、ミハイルが笑っている。笑うくらいなら
止めてくれればいいのに、とは思ったけれど、それでもこんな小さな事でも笑い合
える事がどれだけ幸せな事か。

それに気がつくのは、もう少し後の事だ。

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ラッキーキャラ

法条ムラク

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