180、そういう事 ページ15
「え、……え？」
何が起こっているのか、それを理解する事ができなかった。
あれ。なんでこんな近くに、ジンさんがいるのだろう。
「ゆっくり深呼吸をしてみろ。何も考えなくていい」
言われた通りにやってみる。余計な事を頭から追い出すように、脳に酸素を送る。
目を閉じて、体の力を抜いて、できるだけリラックスするように。ジンさんもそれ
を促すように、ゆっくりと背中をさすってくれた。なんだかこの感じ、なつかしい
かも。
目を開けてみると、今までどこか一点に集中していたピントももとに戻って、だいぶ
楽になった。度の高いめがねを外したような感じ。
「ジンさん、もう、たぶん大丈夫です」
「ん。よし、戻ったな」
すっと、ぬくもりが離れていく。そのとき、ようやく理解する事ができた。私、ジ
ンさんに抱きしめられてた。
「……あ」
日暮先生を見てみると、あからさまに引いたような顔をしている。
「か、海道先生？」
「なんですか、日暮先生」
「なんですか、じゃないだろう」
あんたら、どんな関係だ。といつものじとっとした目で見られた。どんな関係、と
言われても。
「義兄の、親友です。昔からよく知ってました」
「そういう事です」
昔から何度も、ジンさんには会った事があった。私が山野家で暮らすようになって、
バン兄がジンさんを家に招いたとき、初めて会ったんだと思う。
記憶をなくした私に、お父さん、お母さんだよと言われたあの二人が、そんなふう
に思えなくて。幼心に申し訳なさを抱いていつも泣いていた私を、さっきみたいに
優しく、背中をさすってくれた。私が泣き止むまで。
ジンさんは私の、もう一人の兄のような存在。
「でもジンさん。もう私も、あの頃みたいに子ども、というわけではないので、あ
まりああいうのしないでくださいね。日暮先生もいらっしゃるわけですし」
「ほかに方法が思いつかなかった」
あっけらかんと言ってしまうジンさんに、もう何も言えなかった。
「……で、追風。ここに来た理由はそれだけか？」
「あ、いえ。もうひとつあって」
何事だろうか、とまじまじと二人がこちらを見てくるので、少し言いにくい。
「頭痛が、ひどくて。……あ、今は、平気ですけど」
「頭痛持ちか？ お前」
「いえ……。たぶん、記憶が……」
ラッキーキャラ
法条ムラク
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陽竜☆ - ちょー久しぶり！覚えてる？更新頑張って(о´∀`о) (2015年3月16日 18時) (
レス) id: 6900af9726 (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 七瀬 暁さん» ありがとうございます。最近ほとんど更新できていなかったのですが、それでも読んでいただけると嬉しいです (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
風陣歌唄(プロフ) - 美月さん» 久しぶり、返信遅くなってごめんね！中学校ってテストばっかりで大変だよね……。更新速度はどうなるかわからないけど、これからもよろしくね (2015年1月31日 16時) (レス) id: e32c18931f (このIDを非表示/違反報告)
七瀬 暁(プロフ) - 凄く面白いですね！更新頑張ってください！ (2015年1月10日 10時) (レス) id: a489451506 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 風陣歌唄さん» お久しぶり！期末テストとかで忙しくてあまり読めなかったけど・・・。続編おめでとう！これからもがんばってね（'＝'）あ、私は無事に中学生になれました！空手部に入ったよ（＞＜） (2014年12月23日 13時) (レス) id: 598d5a56fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風陣歌唄 | 作成日時：2014年8月3日 10時
