第五十七話 ページ17
『はぁっ…はぁっ‼』
只々走る。お手洗いを装い部屋から出てそのまま外へ脱出。
順調にいきすぎて逆に怖いが出れたのなら帰れる。少し癪だが出てきたビルからは探偵社よりもポートマフィアの方が近い為、一時的に避難させてもらおう。森さんは論外だが、中也さんか姐さんなら匿ってくれるだろう。
あのまま彼処に居たら駄目だ。帰りたいのに帰りたくなくなっていく…。
それ程までに礼朗さんの隣が落ち着く。ずっとあの場所を探してた気がする。
『思い出したいのに…』
「俺も早く思い出して欲しいよ」
『⁉な、何で…』
直ぐに追い掛けられてたら見つかり追いつかれる可能性は大いにある。でも、出てから数十分は経っている…道も入り組んでいたのに如何して直ぐに私の居場所がわかったの…探偵社へ向かっていたならまだ納得ができる。でも、私が向かっていたのはポートマフィアなんだよ?
「俺には砂姫の居場所は手に取るように判るよ。砂姫もそれは本当なら判ってる筈なんだよ…俺の異能を知ってるからね。さ、帰ろう。急に連れてこられたから混乱してたんだよね。気づかなくてごめん。でも、直ぐに記憶が戻る様に頑張るからもう少し大人しく待ってて」
『…うん。出て行ってごめんなさい』
「気にしなくていいよ。また出て行っても必ず見るけるから」
『うん。ありがとう』
狂ってるんだと思う。怖いのに、安心してる。握られた手を離したくないと思ってしまう。
ずっと側にいて欲しいと思う。こんなにも礼朗さんに惹かれているのに…
やっぱり乱歩さんの元へ帰りたいんだ。
礼朗さんの隣の方が正直、しっくりくる。落ち着く。
それでも乱歩さんの隣がいいんだ。彼の人隣が私の居場所で最も私で居られる場所なんだ。
だから__
.
.
.
「あ?ンだこれ?……‼A?」
ちゃんと私の
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年1月4日 10時