薄紅色の想いにのせて ページ14
「わ、ここも無駄に広い。」
「無駄にって…。」
そう言ってクスクス笑っている上杉君を睨みつけた。
「だって、こんな大きい本屋さんなんて初めてだもん。」
それでも笑っている上杉君は放っておいて、参考書のコーナーに向かった。向かったんだけど…。どこ!?
分からなくなってしまったので、もう一回上杉君の所に戻った。
「参考書のコーナーってどこ。」
「おい、分からないのに突き進んだのかよ。」
今度はニヤニヤしている上杉君は多少癪に触ったけど、連れて行ってもらって参考書を選んだ。
「立花は今度は問題数が多いのがいいんだろ。じゃ、こんなのはどうだ。」
「わ、問題数が多いね。でも、もう少し簡単な問題を入れて欲しいかも…。」
「じゃ、こっち。幅広い問題を取り入れてあるぞ。基礎から入試問題まで様々だ。」
「それがいい。それにする。上杉君にはこんなのはどう?」
「へえ、解説もしっかりしていていいな。俺もそれにする。」
奢ると言う上杉君を何とか説得して、新しい数学の参考書を購入する。なんか、上杉君が選んでくれたってだけで、嬉しいかも。
国語の参考書を買った上杉君と合流し、隣を並んで歩きだす。
次は文房具屋だったけど、上杉君はかわいいコーナーにいるのが苦手らしく、店の前で待ってるとだけ言って別れた。
どんなノートにしよう。シャーペンは大体いつも同じ種類の柄違いを使っているんだけど、私、ノートは結構いろんな種類を使う。
たくさんの柄や色、中身の線の多さとかそんなのを見ながら集めている。かわいいノートで勉強すると、気分も上がるしね。
今日は無駄遣いしたくなかったため、悩みに悩んで群青色の空に銀の星が描かれているノートを選んだ。
他にもいいノートがあったんだけど、なんか上杉君みたいだったから。
青い炎を持っている上杉君。空のように澄み渡っていて星のように輝いている。そんな姿が似ていた。
最後の一冊だったしね。数学で使おうかな。
シャーペンは新しい柄のものを選び、すぐにお会計を済ませる。
店を出て、キョロキョロしていると、
「遅ぇ。長すぎんだろ、買い物。」
「あ、上杉君。待たせてごめんね。上杉君のことを考えてたら遅くなって、」
わっ!ここまで言って気づいた。上杉君のこと考えてって。上杉君も赤くなってる。
「と、とりあえず行くぞ。」
どこに行くのかは分からなかったけど、上杉君の背中を追った。
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作者名:ぬの | 作成日時:2018年5月6日 11時