過去の僕と、壊れた君 1 ページ2
赤司side
『征くん、またお勉強ー?』
赤「仕方ないよ...。父さんの言いつけだし、これは俺が赤司に生まれた宿命なんだから。」
『今日はね、征くんと母様とお菓子作りをしたいと思って来たんだ!早く行こ?』
赤「...人の話聞いてた?」
ニコニコと笑いながら、呑気に言ってくるこの女の子は、先日俺の隣に引っ越してきた柏木さん家の一人娘らしい。
名前はA。
家に挨拶に来た時、一目見て気に入ったと大騒ぎし、そこから毎日のように俺の邪魔をしに来る。
『征くん...?』
赤「うっ...。あ、後で行くから、もう少しだけ家で待ってて。」
『うん!!征くん大好き!』
その大きな瞳に悲しげな表情をされてしまうと俺は強い事を何も言えなくなり、結局は最後は流されてしまう。
...それに、俺は。
赤「(あーもう...!好きとか、Aは特にそういった感情を持って言ってるんじゃないって分かってるのに...っ!!)」
自分でも分かるくらい顔は赤く染め上がり、心臓は先程から大きな音を立て続ける。
あの笑顔が、言葉が、全てが俺を嬉しくさせる。
幼いながらに、俺は彼女に恋をした。
詩「あらぁ〜?征十郎ったら、またお顔を真っ赤にして...。Aちゃんに何言われたの?」
赤「か、母さん!?違っ...!別に、何も...。」
詩「隠さないでいいのよ?母さん、征十郎の事応援してるから!...せめて、私は貴方に幸せを感じて欲しい。母さんが征臣さんを止めることが出来たら、それが一番なんだけどね...。」
赤「母さん...。」
こんな苦しい生活の中でも耐えられるのは、優しい母さんがいるからだ。
それにAと出会ってからは、俺の存在理由は赤司の為なんかじゃなくて、Aと一緒にいる為だと気付いた。
母さんがいるから、Aがいるから、俺はこの現状を苦しくも思いながら、でも幸せにも感じていた。
詩「ほら、Aちゃんの所に行くんでしょ?じぃやと征臣さんには言っとくから、早く可愛いお嫁さんをゲットしてきなさい!」
赤「っ!!言われなくてもそのつもりだから!」
部屋を飛び出し、Aの家へと急ぐ。
『あっ!征くん来た!!』
母「あら、いらっしゃい征くん。」
父「征十郎くん、ここでは自分の家のように寛いでくれていいからね。」
優しく包み込んでくれるこの家族が好きだ。
『征くん!』
赤「あ、ちょっとA...!?」
...この頃は、本当に幸せだった。
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N(プロフ) - コメント失礼致します!とても素敵なお話なので是非続きを読みたいと思いました! (4月8日 13時) (レス) id: 14124a3807 (このIDを非表示/違反報告)
五月病エンジョイ勢(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 085867931a (このIDを非表示/違反報告)
ちよう - もう一回みに来ました面白いです (2018年2月11日 21時) (レス) id: 9f4860e3f3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 完結だなんてもったいないです!更新楽しみにしてます^∀^ (2018年1月8日 0時) (レス) id: 3655c57b22 (このIDを非表示/違反報告)
虹と音 - とても面白いです!早く続きが読みたいです!更新お願いします!!! (2017年9月29日 21時) (レス) id: e0a22c3730 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花梨 | 作成日時:2015年12月27日 18時