【学園BSR】馬鹿は治らない！【政宗】 (ページ4)

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おひるその2 ページ4

猿飛先輩にポンっと肩を叩かれて、不意打ちに対処しきれず、たこさんウィンナーが箸から落ちる。
地面じゃなかったから別にいいけど、もうちょい加減してよね…｡

「まあ、慣れるまでは疲れちゃうよね〜。学食もあるけど弁当なんだ？」
「いやァ…ああいう“皆でご飯！”が苦手なんですよね。皆がみんな、仲良いわけでもないのに、集まる感じが」

そう、人が嫌いなわけじゃないけど、あのガヤガヤした感じが苦手。
その中にはきっと、人の悪口だとかの雑音が含まれてるから。
私の返答に先輩二人は少し悲しげな顔をする。
どうしてだろう？
ラブアンドピースの精神の人なのかな。

「真田幸村ッテメェ！ぶつかってくんじゃねぇ！」
「嫌なら横にズレれば良いではござらぬか！」
「テメェが退け！」
「某は最初からここに居りまする！故に退くのは政宗殿の方にござる！」
「ンだと！」

私が小首を傾げてると、なにやら世界で一番しょーもない小競り合いが始まった。
普段ならめんどくさいなぁと思いつつ、取り繕おうとしてしまうけれど、この二人のやりとりはどこか懐かしく感じる。

「俺も混ぜてくれよ」
「前田さん」
「慶次でいいよ。A！」
「ブレない馴れ馴れしっぷり…」
「俺様のことも好きに呼んでくれていいよ。タメ口使ってくれていーし」
「…俺も好きに呼ぶと良い」

高身長組はどこか好意的だった。
もしかして私のこと、ハメようとしてる？
馬鹿な転校生をカモにしようとしてるのかな。
ま、考えてもわかんないし、どうでもいいけど！
あくまで高いツボは買わないけど、お言葉に甘えて好きに呼ぶことに決めた。

「じゃ、慶次と佐助と小十郎さんで！」

言うと、3人は笑って頷いてくれて、思わず私も笑顔になる。

ざあっと風がふいて、不意にフェンス越しに高い空を仰ぐ。
どこかでお喋りしてる女の子の鈴のような声も、今ここでギャンギャンと小競り合っている声も、晴天に吸い込まれていく。

───今までたくさん転校してきて、その度に所属するグループが変わって。
その子たちとはまだ連絡をとってるし、仲が良い方なんだと思うけど、時々息が詰まることがあった。

他人の噂話をしたり、誰かを悪く言わないといけない空気とか、それに逆らっちゃいけないとおもう自分が、嫌いだった。

だけど、この人たちと居るのは不思議と───。

「───落ち着くなぁ」

まるでみんな昔から一緒だったみたいな、そんな空気を感じながら、私はお弁当箱を閉じた。