薄桜鬼〜I wish happiness be always with you〜

#35　猫 ページ36

総司)「やっと約束果たしてくれたね。」


慶応三年四月・・・の下旬。


明日から五月に入ろうとしているこの時期に

総司と巡察に出かけた。

あの・・・いつぞやのだんごのお約束。

『絶対巡察行くから！』と言っておいて

伸ばし伸ばしにしてしまっていた。

「だって歳三が行くなって言うんだもん。」

総司)「でも左之さんとはよく行くよね？」

「・・・その、なんていうかさぁ・・・
左之が誘ってくるときは歳三の目を盗めるというか・・・」

言い訳をしながら、総司と巡察を終え屯所に帰ってきた。


「にゃあー」

総司と中庭に向かっていると、突然鳴き声が聞こえた。

総司)「猫だ。変わった色してるなー。」

総司はそういって、灰色と白の模様の猫を抱き上げる。

総司)「ほら、だんごちゃん。・・・どうしたの？」

私のほうに猫を近づける総司に、後ずさりする。

「いや、私猫だめなんだよね。」

ずいずいこちらに来る総司から一定の距離を保つ。

総司)「へぇー・・・驚いた。
だんごちゃんにも苦手なものあるんだね。」

総司は心底驚いた顔をして猫を降ろす。

「小さいころ言ったじゃん！思いっきり引っかかれて苦手になったって！」

総司)「そうだっけ？」

なんで小さいころから一緒にいるのに知らないんだ。

猫は呑気に総司の足元ですりすりと身体を寄せ付けている。

引っかかれたときのあの猫の眼が怖すぎて

今でも思い出すだけでゾッとする。

総司)「だんごちゃん♪」

総司に呼ばれ、我に返ると目の前には

総司の顔ではなく、猫の顔があった。

「いやああぁぁぁあああぁぁあああああぁぁぁあぁああ！！！！！」


屯所に私の叫び声が響き渡った。

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