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序幕、 ページ1
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「あーあ、フラれちゃった」
中々レッスンに来ない羽風先輩を探して、三年生の教室に来てみれば
案の定。窓に身をゆだねた彼がいた。
「…羽風先輩、レッスンは、」
どうするんですか、と聞こうとした時気付いた彼の頬に伝わる涙。
代替、検討はつく。羽風先輩は前々からその熱っぽい瞳を彼女に向けていたから。
「A先輩に告白でもしたんですか」
「…そうだよ」
思いつめたように言葉を吐く彼はどこか苦しそうで。
最近になって女の子をナンパしないのをみるところから。
「結構、本気だったんだけどなぁ…」
「先輩、今日だけは特別にレッスン来なくても大丈夫ですよ」
「ねぇ、聞いてよ。Aちゃんに告白した時、彼女なんて言ったと思う？」
「……分かんないです」
「…あなたに相応しいのは私じゃない、って」
そんなの、答えになってないじゃん。
そう言いながらポロポロとまた涙を流す先輩を私は慰めた。
そう、私の役割はいつもこれ。
月のような彼女をさえぎる雲の存在。
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作者名：さかき | 作成日時：2018年9月5日 17時
