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04:私を溶かして【瀬名泉】 ページ4

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だから言ったでしょ、と悲しそうな表情で私の手を握る瀬名先輩。
いつもは見下すような顔で私を貶すくせに。
こういうときだけ素直な顔を見せるから、私はあなたから離れられない。


なにがあったかを簡単に説明するとしたら、こうなる。
ユニットの仕事を掛け持ちしすぎて過労で倒れた。
いつもなら家に帰るまでは持ちこたえるのに、
今回はレッスン室へ走っている階段の途中で倒れてしまったらしい。

たまたまそこを通りかかった瀬名先輩が、
私を見つけて保健室まで運んでくれたのだとか。


「だいたいね、あんたそんな器用じゃないんだから」
「ん…」
「今紅月の外部イベントで忙しいってのに、はぁー、ほんとばか」


深くため息をつく。見事なまでに完璧な呆れ顔だ。
だが繋がれた手は離そうとはしない。
私より少し温かな体温が、しっかりと私の指を絡め取っていた。


「しばらく休むこと。いいね?」
「はぁい」
「次倒れたら、ただじゃ済まさないからねぇ」
「…はぁい」


空いている方の手で前髪を持ち上げられた。
綺麗なおでこだねぇ、と彼は目を細めてそれを撫でてくる。
頭を撫でられているという安心感は眠気も同時に運んでくるもので、
本当に寝るつもりはないけれど、私は静かにまぶたを閉じた。

訪れる静寂は、瀬名先輩となら気まずくない。
むしろこの空間に二人きりなのだとワクワクする。


「…、先輩?」


ふと、おでこに柔いものが当たったので目を開ける。
もしかして…と期待していたのに、
そこにいる先輩の表情はいつもみたいに不機嫌そうだった。
むすっとしながら、眉間にシワを寄せている。


「とりあえず、あんたが倒れるとほかのユニットにも迷惑かかるんだから」
「やば、申し訳ない……」
「まあそこは俺から説明しといてあげる。お兄ちゃんだしね」
「ありがとうございます」
「いいえ。あとでカバン持ってきてあげるから、それまで寝てればぁ?」


するりといとも簡単に離れてしまった指。
なんだか寂しくて先輩の名前を呼ぼうとしたけれど、
それよりもはやく彼がまた、私のおでこに手をのせて優しく微笑みをこぼす。


「寂しくないよう、おまじないかけてあげたから」
「おまじない?」
「そ。だから安心して寝な」


きゅんっと心臓が一瞬縮んだのがわかる。
私のことは何でもかんでも先輩にはお見通しなのだ。
そんなところも、あなたから離れられない原因。

先輩、いっそ私をあなたの糖分でどろどろに溶かしてくださいな。


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05:彼女の上手な扱い方【月永レオ】→←03:絶対に約束【鳴上嵐】



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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