05:彼女の上手な扱い方【月永レオ】 ページ5
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12時33分。
おれは教室で、柄にもなく席に座り頬杖をついている。
霊感はとめどなく溢れているけれど、
それよりもあともう少しでアイツがやってくるから。
アイツを優先させなければならない。それがおれなりの上手い付き合い方だから。
「月永先輩っ!」
「あっA! うっちゅ〜✩」
「うっちゅ〜じゃなくて! LINE返信してください!」
バンッと机を叩くA。近くにいたナズが小さく悲鳴をあげた。
「なんだなんだ、カルシウム不足か〜?」なんて返すけど、
内心おれもちょっとだけビックリした。しちゃった。
「それと!!」
まだ続くのか。
持ってきていたらしいお弁当袋からいくつかの写真を取り出す。
__えぇ、おまえどっから取り出してんの。
さっきより強い力で机を叩かれる。そろそろおれの机真っ二つに割れそう。
その写真には、おれとあんずが写っていて、とても楽しそうに笑っている。(主におれが)
身に覚えがあるような、ないような。
ガーテンテラスの周辺で楽譜をばら撒いていたときだっけか。
とりあえず、Aはかなりご立腹だ。
「先輩は私のものじゃないんですか」
「なんかAって大胆になってきた?」
「はぐらかさないで!」
「ごめんごめん! はぐらかしたつもりはない!」
目に涙すら溜めているA。
昨日まで普通に一緒に帰ったり、手繋いだりしてたのに、ほんと一日で別人みたいになるよな。
そういうところが見てて飽きなくて面白いんだけど。
「そんなおれのこと信用できない?」
「半分くらい」
「即答か!ほんと面白いな〜わははは✩」
「わはははじゃなくてさぁ…!」
そろそろ怒りが頂点に達しそうな、そんな彼女の手に自分の手を重ねる。
優しく名前を呼んでやれば、逆らうことなくおれの瞳をしっかり見つめる。
こいつは素直すぎるだけなんだ。悪い奴じゃないし、むしろ可愛い。
「おれはAのものだよ」
そんなところが大好きだ。ほかのやつらとは違う意味の『大好き』。
世界で一番、なんて陳腐な言葉を使ってしまうけど、本当にそのとおり。
「Aもおれのものだ」
ね? と首を傾げれば、Aは顔を真っ赤にして何度も頷く。
そして慌てて持ってきた写真をちぎっておれに謝ってきた。
素直で、誰よりもおれのことが大好きなA。
「ん、いい子…♪」
椅子から立ち上がっておでこにキスをすれば、
嬉しそうに笑顔をいっぱいに咲かせた。
これで一件落着。
そんな、12時40分。
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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:adora | 作者ホームページ:
作成日時:2019年4月24日 0時