諦め ページ39
無音の空間に、突如現れる波の音。
喉を、ギュゥッと締め付けられるような感覚。
あたりまえにしていた呼吸の仕方が分からない。
鈍器で殴られたような鈍い痛みが、胸を刺す。
彩「…っあ、ン…………イッ…」
言葉にならない、悲鳴。
こんな早くに来るとは思わなかった。
こういう時って普通、大切な人が自分を呼ぶ、とか。
綺麗な花畑が見えるとか、
楽になれるんじゃないのっ!?
いつもいる風子さんは、どうしていないの?
生理的に流れる涙。
酸素が、足りない。
苦しい。
誰か、助けてよ。
寒い。
ドラマなら、誰かが手を握って一命をとりとめるはずなのに。
リアルでは違うみたい。
もう、嫌だ。
楽になりたい。
胸を押さえる手の力を弱める。
痛みがスゥーっとひいていって、呼吸も上手く出来るようになった。
かいていた汗もなく、身体の力が抜けていく。
私は黄色っぽい色のモヤに包まれた。
あれ、この状況って……
まぁ、いっか。
私が目を覚ましたら皆、無駄な希望をもってしまうから。
私が治ることなんて無いのに。
だったら、いっそ。
さっさといなくなれば良いのかも。
神様は、絶妙なタイミングで迎えに来るのねぇ…
そう考えると、“いなくなること”への恐怖が少なくなっていった。
ボンヤリとし始める意識の中で、ゆっくりと目を閉じた。
そして、自然に微笑む。
“いなくなる時”の顔は笑っていたい。
65人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通行人A - 虐待をネタにしないでください。虐待経験のある自分からすると物凄く不愉快です。病気もそうです。 (6月18日 12時) (レス) id: 05d80f8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
lovesea - 感動でした!! 今度は、アーヤが生きていてほしいです。あと、私は上彩推しなので、この二人中心だと嬉しいです。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: cd2f91d5b2 (このIDを非表示/違反報告)
花桜L - ゆづづんさん» ありがとうございます!スピンオフ書くので、そちらも是非楽しんでくださいな♪ (2019年12月8日 9時) (レス) id: 4c799f114d (このIDを非表示/違反報告)
ゆづづん(プロフ) - 面白かった!お疲れ様でした! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 566d442984 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - いえいえ、これからも楽しみにしてます!頑張ってください!! (2019年12月7日 11時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花桜L | 作者ホームページ:http://uranai:nosv.org/u.php/hp/elu
作成日時:2019年4月15日 15時