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彩の葛藤 ページ36

ごめんなさい。




私はもう戻れないの。






希望を持たないで…お願いだから。


私、いなくなるのに……




泣きたいのに涙が流れない。



ごめんねって謝ることもできない。



彩「…風子さん、あの魔法かけるのやめよう。」





風「どうして?」




彩「私がいなくなっても、皆の中では私はまだ生き続けてるんだよ…?」


次の言葉を言おうか迷った。





彩「それって、凄く残酷じゃない?」









私はいないのに、私を忘れられなくてずっと苦しむなんて……





そんな思い、皆にしてほしくないんだ。







私の意思なんてどうでも良いんだ。




皆が、残りの人生を楽しく過ごしてくれれば。



風子さんは、フゥ…と息を吐き出した。

諭すような目で私を見た。






風「彩ちゃんは間違ってる。」




私の考えを真っ向から否定されて、少し腹がたった。







風「大切な人がいなくなって、残された人が辛いのは、その大切な人を忘れちゃうことなんだよ!」








風子さんの瞳には、彼女らしくない光の水滴が煌めいている。







風「…それに、魔法を使わなくても忘れないと思うけどな。」




風子さんは、そう前置きをしてからこの魔法について、詳しく教えてくれた。




風「楽しかった思い出を楽しいまま、覚えさせておく手助けをするんだよ。」


ん?


ファンタジーをあまり読まない私の頭には?が大量に生まれる。




……忍ならすぐに理解するのかな。




風「楽しい思い出を思い出した時に“あぁ、この人はもういないんだった”って思わなくするの。」



はて。


風「あぁ、アレは楽しかったなぁ。で終わらせるの!」








風「とにかく!いない人の事をずっと覚えてる事はそんなに、残酷じゃないの。分かった!?」



少し怒り始めた風子さんに、私は頷くしかなかった。



頷いた私を見た風子さんは、満足そうに笑った。



風「いなくなる時ぐらい、自分の意思を優先させなよ。」




最後の風子さんの言葉に背中を押され、前言撤回。


彩「やっぱり、魔法をかけて!」



風子さんは親指をグッと突きだし、自分の胸を叩いた。




『任せとけ!』ってことらしい。




彩「私は、あとどのくらい生きれるの?」


私のその質問には風子さんは、曖昧に微笑むだけだった。


自分の体なんだから、自分が一番分かっている。





でもそんな現実からはまだ、目を背けていたい。

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通行人A - 虐待をネタにしないでください。虐待経験のある自分からすると物凄く不愉快です。病気もそうです。 (6月18日 12時) (レス) id: 05d80f8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
lovesea - 感動でした!! 今度は、アーヤが生きていてほしいです。あと、私は上彩推しなので、この二人中心だと嬉しいです。 (2020年10月6日 14時) (レス) id: cd2f91d5b2 (このIDを非表示/違反報告)
花桜L - ゆづづんさん» ありがとうございます!スピンオフ書くので、そちらも是非楽しんでくださいな♪ (2019年12月8日 9時) (レス) id: 4c799f114d (このIDを非表示/違反報告)
ゆづづん(プロフ) - 面白かった!お疲れ様でした! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 566d442984 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いえいえ、これからも楽しみにしてます!頑張ってください!! (2019年12月7日 11時) (レス) id: ebf2abea67 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花桜L | 作者ホームページ:http://uranai:nosv.org/u.php/hp/elu  
作成日時:2019年4月15日 15時

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