いつかいなくなる私は 探偵チームKZ事件ノート

見間違いを望む　風子side ページ13

花が散って、緑の葉が繁った私。

セミが幹に留まって鳴いてるのをボーっと眺めた。


ソヨソヨ……ソヨ…

生暖かい風が吹く。


夏だなぁ、ってのんびり考えた。

彩ちゃんが来たのもこんなのどかな日だったな。


無事、退院して…元気かしら？

また会いたいな。

とか縁起でもない事を思ってみたり。


ピーポー・・・ピーポー・・・


一気に騒がしくなる。

急患かぁ、どんな人なんだろう。







まさか、彩ちゃんだとは思わなかった。


またあの日と同じ病室。

治らないだろうって医者に見放された患者が来る病室。


しかも今回は、怪我じゃないらしい。


近くのベンチで看護師達が話しているのを聞いた。


　「ねぇ、あの子助かると思う？」

　「立花彩ちゃんだっけ。」

　「そ。春にも入院してた子。」

　「春は助かったけどねぇ…今回は難しいんじゃない？」

　「だよね…1000人に1人っていう難病だし。」

　「しかも、レベル3だって！」


彩ちゃんには生きてほしい。

幸せになってほしい。









私は知らなかったんだ。









生きなかった方が、









死んじゃった方が、









幸せな事もあるってことを。

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