34話 ページ34
ざわざわ、なんて擬音は正しくなく噂なんてものは通り越して『藤島Aは中原幹部の女』だと認識された。
マフィアの幹部が女を侍らせるなんて事はよくある話で、むしろ今までが健全すぎたと言えるだろう。
まぁ気に入らない者も中にはいるようだがひそひそとした陰口はとりあえず聞こえなくなった。
皆、私への陰口が幹部の耳に入る事を恐れたのだろう。
「実に、よくない」
「何がだよ」
「この現状がよくないのよ」
"中也″が書類と睨めっこしている間私は暇を弄んでいた。
別に暇を憂いていた訳では無いのだけど、このままじゃ給料泥棒だなと頭の片隅では考えていた。
そんなことよりも、だ。
「皆私の事が気に食わないみたいね。女のくせに、愛人の分際で、下級構成員のはずだろって言わなくても顔に書いてあるわ」
「・・・・・愛人?そりゃ聞き捨てならなねぇな」
手前以外に女はいねぇ、と中也は反論するが今反応が欲しいのはそこではない。
「不満があっても、幹部相手に文句を言えるはずがない。まして首領の命令で貴方といるのだから尚更ね。でも人間はそう思いたくなくても思ってしまうように出来ているのよ」
「つまり、どうしろって言うんだ」
「貴方にどうこうしろとは言わないわ。私の問題だから、私がどうにかするしかないのよ」
このままだと、きっと仕事にも影響がでる。
不和が生じている組織に未来はない。
その不和の原因は私だ。
「首領は私に中也君と共に行動をするようにと言ったわ。共に仕事ではなく、四六時中一緒に居ろと言ったのよ」
中也は眉間に皺を寄せている。たぶん私の言いたいことはまだ伝わっていないのだろう。
「この状態を作った原因は私。作った張本人は首領なのよ。理由は」
「手前を役職につかせたかったから、か」
「私が、幹部か準幹部かはわからないけれどいずれかに着けば皆不満は無くなるでしょう。その為にはそれなりに功績がいるけれど」
つまり首領は私が役職を、自ら望むように仕向けたのだ。
「首領は私をスカウトする時、私の頭脳と責任感を買っていると言ったわ。あの人は分かってたのよ、この状況を私が放置するはずが無いと、組織の不利益は絶対に起こさないと分かってたのよ」
今度こそ、口には出さなかったが
やっぱりここの首領は性格が悪い。
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柚子豆腐(プロフ) - 天草嶋さん» コメントありがとうございます!最終話までお付き合いいただき本当に嬉しいです。番外編は書くか分かりませんが中也の話はまた書きたいと思ってますので今作以上にかっこいい中也をお届けできればと思います!新作もどうかよろしくお願いします。 (2019年8月6日 3時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
天草嶋(プロフ) - 最終話が拝めて本当に満足です。今まで私が見たどの夢小説の中でも一番理想の中也像が描かれていて本当に大好きな作品でした。終わってしまったのは少し寂しいですが、また何か番外編などあれば是非読みたいです。新作も楽しみにしています!お疲れ様でした! (2019年8月5日 19時) (レス) id: be6bb92be5 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 謝花さん» コメントありがとうございます!こちらこそまじ感謝です!これからも頑張ります! (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 桜咲月菜さん» コメントありがとうございます!読んで下さっている読者様の方こそが神様でございます…でも、嬉しいです…… (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 尊…い…まじ感謝です (2019年7月19日 14時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2019年5月14日 5時