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「お前らの第一印象はぁ……嫌いだ!!」
はははと乾いた笑い声をこぼしながら、自分に言われたわけでもないその言葉が胸に突き刺さった。ただただ私に向けられた言葉ではないことに安堵しながら、目の前にいる三人がこれ以上先輩の気に障ることをしませんようにと祈るばかりだった。
しかし彼らはまだまだ子供で、もっと言うと私達とは違う時代に生きているのだ。
場所を移し、自己紹介をしろといった先輩に対し「先生が先にしろ」「あやしい」などとなんとも舐めた口をきくものだから今から明日の朝までかけて先輩の魅力について語ってやろうかと考えた。が、そんな私よりも先輩ははるかに大人で軽く流してしまった。
「結局わかったの名前だけじゃない?」
「んじゃあさ!そっちの女の先生は!?」
女の先生って、私のことか。
先生なんて言われたのは初めてでどこか気恥ずかしい。
「私は雅っていいます。好きなものは……浮かばないや、嫌いなものも特にないし将来の夢?」
先輩と違い、しっかりと答えようとしているのにも関わらず何も思い浮かばなくて反射的に先輩のほうを向き視線で助けを求めた。が、ふるふると首をふられ見捨てられてしまう。
そらそうだ。私の将来の夢なんて本人がわからないのに先輩がわかるわけないのだから。
「なんか、かわいそうな先生ね……」
三人から憐みの目を向けられるが、好きなものはカカシ先輩で嫌いなものはカカシ先輩と仲良くする人全員なんて答えられるはずもなく、将来の夢と趣味は本気で出てこなかった。
そんな私とは違いナルトとサクラは年相応な自己紹介をしておりなんだか涙ぐみそうになった。確かに自分が老けて見えてきてしまう。
ただ、サスケだけは違った。夢ではなく、彼の中にある野望は一族の復興とある男を殺すことだと。ある男とは間違いなくうちはイタチのことだろう。……これは予想以上に前途多難な予感がしてしまう。
まぁ、前途多難といっても明日の演習に合格した後の話だが。特にカカシ先輩は今まで一人も合格者を出したことがないと聞く。前途多難なのは彼らのほうかと、少し同情してしまう。
その話を聞いた三人はドン引きしており、この場にはカカシ先輩の笑い声だけが響いた。
「詳しいことはプリントに書いておいたから明日遅れてこないように」
演習の内容は先生によってバラバラらしいが、先輩はいったいどんな演習をするのだろうか。
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蒼葉(プロフ) - カカシ先生すっごいかっこいいです!!面白いです!!更新待ってます! (2019年3月29日 15時) (レス) id: 23fe071b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2019年3月5日 2時