求めるもの【はたけカカシ】 (ページ14)

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「この間おっさんと歩いてたでしょ」

「え……この間っていつの話でしょうか」

ぶっちゃけると、身に覚えがありすぎた。

いいのか悪いのか、私はどうやらおじさんと分類される男性に可愛がられやすく暗部を抜けてからは特によくご飯に連れて行ってもらったりしているのだ。

勿論ご飯に行くだけでそれ以上のことはないし、大体は複数人での集まりに呼ばれることがほとんどだったりする。

先輩が目撃したのはたぶんたまたま二人だったのだろう。

「というか、声かけてくださいよ」

「いや邪魔しちゃ悪いかと思って」

邪魔なんてとんでもない。むしろ邪魔をしてほしいぐらいだ。

置かれたおしぼりを手に取り、ほんのり暖かいそれをもてあそびながらだらだらと手を拭いた。

「あれぐらい歳離れた人が好きなの？」

「いえ…年齢は気にしませんけど……というか好きでもなんでもないんですけど」

「へぇ、距離が近かったからそういう関係なのかと思った」

そういう関係って、いったいどういう関係だろうか。恋人同士だと思われていたのだろうか、それとももっと、最悪お金をもらってる関係だとか思われていたらどうしよう。

「あの人とは、普通に誘われたからご飯を食べただけでそれだけです」

する必要もない言い訳は、先輩から話を聞いたくせに聞き流されてしまった。

あ、誘われたら誰にでもついていくとか思われたらどうしよう。

そう思われても、事実だから仕方ないんだけど。

「……気を付けなさいよ。Aにその気がなくても向こうにはたぶん下心があるし」

ずっと下を向いていた先輩の目線が、また私の目を見た。やっぱり、さっきと変わらないその瞳に私はまたしても釘付けになってしまう。

店員が、注文したお酒と食べ物を並べるとごゆっくりと言い出て行った。

先輩は目線をそらさず、私の目を見つめたままだ。ブスだなとか、思われたらどうしようなんてのんきに考えていたら

「あんた可愛いんだから」

ふ、ふざけるな。

開いてくれない口。ごくりと唾を飲み込んでやっとの思いで声を出す。

「先輩、お酒つぎますよ」

適当なことばっかり言って。私だってあなたが可愛い女の子と歩いているのを見たことがある。付き合っているのかもその日限りなのかもなにもわからないけれど。

少なくともわかるのは、可愛いなんて先輩は誰にでも言う言葉だということ。

あぁ、なんて酷い人。