言葉なんて. ページ39
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意味はなく目が覚めた。
真ん前にはやっぱり沖田の顔があって、規則正しく寝息を立てている。
(かっこいいなー…)
口にこそ出さないが溜め息が出るほどの美形。相手なんて幾らでもいそうだ。
__性格はあれだけど...。
時計を見ると三時だった、これまた変な時間に起きてしまった。
することもないのでまた眠りにつこうと体を倒したその時、ふと月明かりに目が奪われた。引き戸の隙間から零れる月の光が、微かに一本の線を描いていた。
(そういえば今日、満月だったっけ)
私はぼんやりとした意識の中立ち上がり、戸に手を伸ばした。
「何処行くんで?」
突然聞こえた低い声に驚く。
沖田だと一瞬で分かったが、あまりにも冷たい言い方だったので体が緊張してしまう。少し顔が怒っているようにも見えた。
『ごめん、起こしちゃった?』
「何処行くって聞いてんだけど」
『あ。えっと、月見ようと思って』
「本当?」
『うん。どうしたの、恐いよ…?』
「ッ……。わ、悪ィ」
沖田は正気を戻したのか、これまで強張っていた顔や声もすぐに穏やかになる。
髪をくしゃっと乱して頭を抱えている。
『大丈夫、気にしないで!!』
「...あんがと」
「はぁ…、駄目だ」
『えっ、何?』
「行かないで欲しい何て考えちまう」
『……』
「自分が情けなくていけねーや、
お前が居なくなんのが怖くて一睡もできなかった。
俺ァ隊長だの何だの棚に上げられてっけど本当はそんな大層な身分じゃねぇ。
臆病で我儘で。
たった一人の女が居なくなるだけで泣き崩れちまうような弱っちい野郎だ。
…俺をこんな馬鹿にさせたのはお前だ。だから___」
『__責任取れって?』
「……」
『でもそれは出来ない。こんな馬鹿、私に世話しきれる訳ないでしょ?』
「...うっせ」
『あははwでも安心して?沖田は情けなくないよ!!』
「…だから俺の傍には居れないってか」
『うん。泣かないでよね、また会いに来るから!』
「…分かった」
『あっ見て!綺麗』
「ん。」
そういって指を指したのは真ん丸に輝いているあの月。
沖田は背後からそれを横目で見ると、私の服を引っ張り自分の腕の中に収めた。
「これくらいさせろ」
『あれ、先程までの優しい沖田君は一体?』
「知ーらね」
『酷い!あっ、今夜は月が綺麗ですね〜』
「…からかってんのかィ」
『いいえ?』
「お前と一緒に見る月だからだろーな」
『え、ロマンチック!!』
「はいはい」
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
作者の頭。←沖)こらァ必須ですねィ。
☆ラッキー食べ物☆|沖:食べれるもんなら食べてみろ!!
酢昆布。←沖)苦手、酸っぱくていけねーや。
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作者名:依 と❕‎🤍 | 作成日時:2021年2月14日 0時