臆病者. ページ17
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「起きろ。…おい、A」
『……はーい?__ハッ、お化け!』
「安心しろ。もう屋敷からは出た」
Aは一人で突っ走って行った挙句、奥で待機していた落ち武者と遭遇し気絶したそうだ。俺から離れなかったらこんなことは起きなかったのに、馬鹿過ぎる。
するとAは急にムクッっと起き上がりこっちを見る。
『今失礼なこと考えました?』
「いや全然。…それより、俺置いて先行くってどーいうことだ」
『怖かったんです!それに俺休日だから刀持ってないじゃないですか。対抗も抵抗もできませんよ…』
「何。つまりお前俺に一般市民切り付けさせようとしてたわけ」
『市民じゃないです幽霊です。もぉー、刀くらい持ち歩いてくださいよー』
「もぉーじゃねぇよ鬼畜か。んなことしたら本当にお化け屋敷の出来上がりだろうが、少しは冷静になれ」
俺が少し慣れないお説教をすると、“酷い”や“分からず屋”などと言い始めた。
本当に怖かったんだな。
でも残念だがその気持ちは俺にもわかる、昔の俺もそうだった。
『...酷い!!俺の苦しさが隊長には分からないんです!!』
「俺も」
『……はい…?』
「俺も昔はよくそういうのが嫌いだった。一人が怖くて、臆病で」
「少し話してもいいかィ」
.。
道場の稽古を独りでに抜け出した俺はいつもの空き家で時間をつぶしていた。
近藤さんは剣術の練習ばかり、いつも遊んでくれるこん汰は道場の手入れで忙しく、俺に構ってくれる人なんて誰一人いなかった。ちなみに土方は論外。
今頃みんなは消えた俺を探し回っているだろう。
「皆が悪いんだ。俺をほったらかしにして自分のことばっかだから…。」
ゴロロロロ…
暫くぼーっとしていたが、低い重低音に気づき我に返った。
周りを見ると辺りは日が沈み真っ暗になっており、大粒の雨が降り注いでいる。ゆういつ光っているものとすればゴウゴウと音を立てている雷のみ。急に背筋が凍るくらい怖くなった。
今居るこの空き家も暗くなったことでいつもと変わってとても恐ろしく感じる。
だんだん俺の目には涙がたまっていった。
帰りたい。
抜け出さなければよかった。
あのまま皆と練習してればこんなことに…
ゴロロロロ…
「わぁっ!!怖い、怖いよ!!」
「誰か…」何て叫んでも返ってくるのは雷の轟音だけ。
涙を流したその時だった。
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作者の頭。←沖)こらァ必須ですねィ。
☆ラッキー食べ物☆|沖:食べれるもんなら食べてみろ!!
酢昆布。←沖)苦手、酸っぱくていけねーや。
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作者名:依 と❕‎🤍 | 作成日時:2021年2月14日 0時