【銀魂】己の行く道 途切れた糸【土方十四郎】

お礼 ページ19

…思い返してみれば銀時は、昔から過保護だったような気がする。子供の頃、私が走っていたら道端にすっ転んで、膝をすりむいてしまって、その時の慌てようったらすごかった。そりゃあ血が出ていたけれど、私は泣くようなこともなかったし、大袈裟なほど痛くなかったのに、銀時はあわあわして「大丈夫かお前！」「だから走るなっつったろーが！」「痛くないか！？いや痛いよな！」なんて捲し立てて、確かあの時はわざわざ私をおぶってくれたのだ。

…今もそこは、変わらないらしい。

…そうやって純粋に私のことを想って心配してくれるのは、ちょっとだけく嬉しい。それを本人に言ったら、不謹慎な奴だって怒られるんだろうけれど。


…だから、天井を仰いでそう呟いて、揺るんでしまいそうな口元を引き結んだ。


銀「分かったならいいんだよ」


暫くはあんま一人で出歩くなよ、と。そう言いながら銀時は、ん、と私に何かを差し出してくる。視線を天井からソイツの手元に向けて見れば、先程玄関先でも持っていたビニール袋が私につき出されていて。背もたれにもたれていた背中を起き上がらせて、それを見据える。


「何それ」

銀「見てみろって」


そう言われたため、それを受け取り中を覗いて見る。すると。


「うわっ、トッポめっちゃ入ってる！！」


思わず大声が出て目を輝かせてしまう。ガキか、とかなんとか前方から聞こえてきたけれど、聞こえなかったことにしてやる。コイツは命拾いした。

どうしたのこれ！！と銀時を見やれば、ソイツはおもむろに私があげた甘味屋の紙袋からみたらし団子を一本取り出して口に入れている所だった。


銀「ほら、お前怪我してどうせ動けないんだろうと思ってたからよォ」


トッポ買いに行けねぇから、と。
「トッポくらい買いに行けるわ」と思いつつ、でもその中に詰め込まれている大量のトッポを目の前にして文句を垂れることはできず、ありがとう銀時！！と。丁度備蓄しているトッポが切れそうだったから良かった。


銀「ま、俺も団子めっちゃ貰ったし？」

「あ……私お礼に来たのにこれでいいのか…」

銀「お礼ィィ？なんの」


なんのって……と呟きながら、貰ったトッポの袋を早速開けた。一本を取り出しつつ、続ける。


「……この間のことだよ………私が、斬られた時…」


……助けてくれて、ありがとうございました。と。

そう頭を垂れると、銀時は「あー」なんて間抜けた声を漏らした。まさか、忘れてた訳じゃないだろうに、誤魔化しが下手な奴である。

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