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17日目 ページ19

階段を上れば、見えるのは彼女がにこにこと待ってる姿


これはもういつものことだからもう慣れた



「やっぱり来た!」

「来ちゃ悪い?」

「悪くないよ。嬉しい!」



「あ、そうだ」と彼女は僕に近づき袖をクイクイつと引っ張った



「今日は兄弟の話聞かせてくれるんだよね!」

「……あぁ、うん」



そうなのだ
僕はうっかり言ってしまったのだ
知られたくないあの兄弟共のことを


何日か前に口が滑って話してしまい、Aはそれに興味を持った


教えて教えてって必死に聞いてくるから、また今度ねという言葉で片付けた


しかしこの子に対してまた今度とは、わずか三日後とは…



「きょ、今日はちょっと……またこん」

「また今度はなし!全部聞くもんね〜」



もうダメだ…逃げられない……




というわけで、嫌々ながら話した


六つ子のことも、みんなニートのことも。僕はそれの四男っとことも



「………こんくらいでいい?」

「うん!」



彼女は「へー」とか「ほー」とかなんか抜けた相づちで答えてた



「ニートって聞いて、どう……?」

「ニートって何?」

「えっ」



知らないの?
いや、たまたま知らなかったってあるだろうし…



「……無職ってことなんだけど…」

「働いてないの?」

「はい…」



なんで僕敬語になったんだ


そりゃ惚れた子にニートバレたら傷つくよ。ショックで今ならクズさ捨てれるかも……


それができたら苦労しないけど




「一松働いてるよ?」

「え、いや働いてない…」

「おじさんのお仕事手伝ってるんだよね?だったら今は無職じゃないよ!」



この子の判断基準はどうなってるんだろう…


違うよ、と言いたかった
けど、必死にそして自信たっぷりに言う女の子には否定なんてしたくなかった



だから違うよって言わずに



「そんな仕事があればいいのにね…」



いつもみたいに笑ってそう言った



「農家さんは?」

「なんか違うくない?」

「そうかな?」

「うん」



会話が途切れる
時間もちょうどいいし、そろそろ帰ろうかな



あ、そだ…



「今日はもう帰るね。あと、

今度はAのこと聞かせてね」



拒否権なんてないというように、僕は彼女に背を向け降りた


彼女の肩は小さく揺れるのを見ながら



そして彼女は大きく叫んだ



「また……また今度ね!!」



それに返事はしなかった

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リオ(プロフ) - のんのんさん» ああああ、ありがとうございます!嬉しいです!感激です… (2018年9月25日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - 涙がボロボロ出てしまいました。私的にはこの話の映画が出たらいいなと内心思いました。これからも頑張ってください! (2018年9月25日 0時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - レミリアさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました! (2018年1月8日 8時) (レス) id: 4940cabbbd (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - このおはなしすごく面白かったです! (2018年1月7日 23時) (レス) id: 8e9961abf9 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - うむ(´-ω-`)ありがとう! (2017年10月16日 15時) (レス) id: ebaca7d72e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/  
作成日時:2017年7月21日 17時

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