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100.『12』 ページ2

レイside

「ずっと前から決めていたんだ。何年も⋯⋯何年も前から。ガキ臭い腹いせさ」

“ママ⋯取り引きしたい”





「俺はねエマ、もともと勉強も読書もさほど好きじゃないんだよ」

“俺は⋯最初からエマ達が優秀だって気づいてた”

多分Aも俺と同じタイプで。




「けど我慢して⋯努力して⋯吊り上げてきた。自分の値打ちを最上級まで(・・・・・)⋯!」

努力なんていくらでもしてやる。

「12年、待ちに待たせた最上物(ごちそう)だ、俺は⋯
それを今夜()り上げる。お楽しみの収穫目前で!」


全身にまとわりつくオイルなんて気にならないくらいに気分がいい。

「食えると思うなよ?食わせられると思うなよ?
食用?商品?知ったことか!俺は人間だ!
ザマァ見ろ!!」


俺は商品なんかじゃない。鬼に食われる家畜なんかじゃもっとない。

それにこれでいい⋯これがいいんだよ。俺はずっと家族を見殺しにして、自分の踏み台にしてきた最低なヤツなんだから。




コニーもそれより前に出荷されていったあいつも。みんな、


「みんないい奴らだったのに、優しい人達だったのにな」

「待って!」
「動くな」

俺の元に駆け寄ろうとするエマに手を前に突き出して止める。





「いいかエマ、チャンスは一度きりだ。うまくやれ。俺の命も、Aの命も、ノーマンの命も無駄にするなよ⋯⋯⋯頼むから」


あ⋯そうだ、忘れるところだった。



「やるよ」

「これ⋯」

一冊の本を渡した。家族全員の写真を挟んだ本を。

「例の報酬(カメラ)で撮ったやつ。ストロボねぇからちょっと暗いけど」

エマがそれに夢中になっている間にマッチに火をつけた。



「時間だ。俺はこれで12歳」

タイミングよく12時を知らせる壁掛け時計が鳴った。



「呪いたい人生だったけど、お前らとの時間はすげぇ楽しかった」

「ダメッ やめて……っ!」










「ありがとう。バイバイエマ」

俺は燃え盛るマッチから手を離した。

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ルノチキ(プロフ) - サクラさん» サクラさんコメントいつも本当にありがとうございます!!申し訳ないのですが受験生のため、来年の3月くらいまで一度更新停止させて頂いています。どうか気長にお待ち頂けると幸いです。 (8月30日 17時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きお願いします。 (8月13日 14時) (レス) id: fb2a310b55 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます!そんな風に言って貰えてすっごく嬉しいです!!更新再開までお付き合い頂けたら幸いです。 (6月15日 16時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - こんなにも面白い作品をありがとうございます。 (6月13日 4時) (レス) @page11 id: 3f6213cd29 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - サクラさん» 毎度この作品を読んでくださりありがとうございます。そう言ってもらえて何よりです! (5月8日 22時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルノチキ | 作成日時:2022年8月22日 17時

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