4話 3年ぶりの ページ5
「貴方も良い人っすよ!」
『俺、お前のことボコしたけど?』
そう言って揶揄うとコイツはそうなんすけど!と声を荒げる。
「元々、話も聞かず喧嘩売ったのは俺なんで。本当ならもっとボコされててもおかしくないっす。だから必要以上に攻撃してこなかった貴方は優しい人です」
『そっか。ありがとな』
初対面でこんな小っ恥ずかしいことを言われたのは初めてでなんとも言えない気分になった。
「あっ、着いたっすよ」
そう言ってコイツが指を差した方を見ると、目の前に3年ぶりの実家があった。
意外と変わんねぇもんだな。
『今日は助かった。じゃあな。』
「俺こそ話聞けて楽しかったっす!」
ヤンキーと別れを告げて、The・日本家屋の家に入る。
この時間だと親父は仕事、爺ちゃんは多分...道場かな。爺ちゃんに挨拶するついでに、道場寄っていくか。
3年ぶりの道場。
もしかしたらテコンドーを習っているヤツがいるかもしれない、なんて淡い期待を胸に抱く。
そして道場の扉に手をかけた。
しかし、そこにはAが想像もしていなかった光景が広がっていた。
見渡す限り小学生のガキばかりで、勉強を教えあっているのか教科書やらノートやらが地面に散らばっている。
暫く理解ができずに棒立ちになっていると、爺ちゃんが俺に気づいて声をかけてきた。
「久しぶりじゃなA。随分大きくなって...
海外はどうだった」
そこで漸く我に返ると、フツフツと怒りが湧いてきた。
『そんなことどうでもいい...いつから
ただただ悲しかった。
小さい頃の俺の思い出が詰まった大切な場所。それが踏みにじられているようで。
『テコンドーはどうなったんだよ!』
「...その話はまた今度にしよう」
それ以上、俺がどんなに聞こうとしても何も言ってくれなかった。
3年ぶりに会った爺ちゃんはなんだかとても小さく見えた。
5話 なんでヤンキーは話を聞かないんだ→←3話 迷子と良い奴
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ルノチキ(プロフ) - 鎖骨さん» まじですか!?そう言って頂けて何よりです!最後まで読んでくださってありがとうございました。 (2021年10月1日 0時) (レス) id: c4cd32353d (このIDを非表示/違反報告)
鎖骨 - 凄い…めちゃくちゃいい話でした。。終わり方が最高です…!!グッとくるものがある…! (2021年9月30日 23時) (レス) @page42 id: c7ef1e87db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年8月23日 10時