花が四輪 ページ6
目を開く。…おかしい。
私は、あの携帯電話がなければ具現化出来ないはず。なのに…、
地面を、風を、体で感じる。
何故?これじゃ、これじゃあまるで、私が…、
『
自分で云い、ぞっとした。
何故?何故!?
「___しら、ゆき…?」
ハッ、と後ろを向くと、私が気を失う前に一度見た、鏡花のポカンとした顔があった。
『きょ、か……』
彼女の顔を見ると、少し冷静になれた。
鏡「な、んで…?あの携帯…。
壊れちゃったのに……」
そう云う鏡花の手には、あの携帯。
壊れているのに、まだ持ってくれていたのですね。
『…分かりません。ですが、』
ギュッ、と彼女を抱きしめる。
『__私は、ここに居ます』
鏡「!……ん」
コクリ、と頷いてくれる鏡花。
ああ、本当に愛おしいですね…。←
『ところで、ここは一体…?』
鏡「…貧民街。私が、嘗て居た場所」
『そう、ですか…』
ここに、鏡花が…。…あ。
『鏡花。海を見ませんか?』
鏡「…?何故?」
『何故でしょう…。海が、見たくなったんです』
主と見た、あの海を。
___
「どう?白雪。海は綺麗でしょう」
《ええ、とても。綺麗で、深いのですね…》
そう私が云えば、主はクスリと微笑んだ。
「そうね。綺麗だけど、深くて、怖いの。
でも、怖いからこそ、美しいとも云える。
…まるで、貴女みたい」
《私…?》
「ええ。だって、白雪は綺麗ですもの。羨ましくなるほど」
《そんな、主の方が美しいです!》
「あら嬉しい。…ね、白雪」
《はい》
「…いつか、海を見たいわね。この、お腹の子と一緒に」
優しげな笑みで、自分の腹を撫でた。
《そうですね。》
私も、そう望んでおります…。
___
…結局、その願いは叶わなかったけれど。
『…さ、鏡花。参りましょう』
鏡「分かった」
コクリ、と頷くのを見て、ゆっくりと歩き出した。
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初音アン(プロフ) - ぽむさん» コメントありがとうございます!なんか、こんな長いコメント貰ったの初めてで…うっ。← これからも頑張りますね! (2017年5月7日 19時) (レス) id: dc9b6463b1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - 夜叉白雪の擬人化…。とても新鮮味があり、気になって読ませて頂きました。夜叉に医師があるのなら確かにこんな従者な感じだろうな、鏡花ちゃんの心情が同時に伝わると、とても印象深い作品でした。これからも更新頑張ってください、応援してます! (2017年5月7日 4時) (レス) id: ad35a28ed5 (このIDを非表示/違反報告)
初音バン(プロフ) - ムスカ(バルスしないで)さん» おおおお!ありがとうございます!鏡花ちゃん可愛いですよね。これからも頑張ります! (2016年12月10日 21時) (レス) id: b40776e60d (このIDを非表示/違反報告)
ムスカ(バルスしないで)(プロフ) - こんな作品を、待ってました…!!
案の定、めっちゃ面白しろいし、夜叉も鏡花ちゃんも可愛かったです…!!(*´ω`*)
これからも、頑張って下さい! (2016年12月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
初音バン(プロフ) - ルルネさん» あれ、何か同士がいる…。← コメントありがとうございます!擬人化いいですよね!これからも頑張ります! (2016年11月30日 22時) (レス) id: b40776e60d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:初音アン x他2人 | 作者ホームページ:http://twitter.com/hakureiaria5
作成日時:2016年10月30日 1時