鏡花や鏡花、愛しき鏡花

花が二輪 ページ4

全-夜「…！？」









敦「夜叉、白雪が…」


尾「そんな…、異能が、人と化したとでも…！？」


それぞれが別の反応を見せる。そんな中…、




鏡「…夜叉、白雪……？」


鏡花は、ポカンとした顔で私を見た。


『…ええ。そうですよ、鏡花』


鏡「喋れ、るの…？」


『つい先程。喋れるようになりました』


鏡「…っ、わ、たしっ。
白雪に言いたi『鏡花』！」


ギュ…、と優しく彼女を抱きしめる。


『…私も、貴女と沢山話したい。

ですが、今は前の女性を、敵を倒す事が優先でしょう…？』


鏡「！…うん」


グッ、と胸元で携帯電話を握る。


『…さぁ、鏡花。もう一度、私に命令を』






鏡「………私の敵を倒して、夜叉白雪！」


『御意に』


スッ…、と仕込み杖の刃を外に出す。

キラリ、と光るこの輝きを久し振りに見た気がする。



我が主の望み、必ず叶えてみせましょう…。









キンッ キンッ

刃が重なり合う音がいくつも響く。

異能同士の闘い。お互いが何も喋らず、ただ刃が重なり合う音だけが、そこにある。


私達は空中で、鏡花達は…、





鏡「………」


尾「………」


地上で、睨み合っていた。

そして、ついに…、







キンッ


＿＿＿＿＿始まった。


尾「見よ！
この刃がそなたの本性じゃ！

邪魔者と見れば、直ちに殺.す。
交渉も脅.迫も無い。

＿＿＿まるで夜叉じゃ」


その言葉に、鏡花は一度固まる。が、


鏡「＿＿＿＿＿＿違う！」


カキィィン、とまた刃を振るった。
トッ、と女性と距離を置いた。

そんな彼女を見て、女性は悲しげな顔をした。



尾「………」


尾「のう、鏡花や。
そなたの気持ち…、判らぬでもない」


鏡花は黙ったまま。


尾「じゃが…、無理なものは無理なのじゃ。
生来の暗.殺者たるそなたがいかに光を希求(ききゅう)しようと、
闇に咲く花は闇にしか憩えぬ。
光を求めても、その熱量に焼き殺.されるだけじゃ」


尾「何故私に判るか？
簡単じゃ。何故ならかつて…＿＿」










《逃げよう、紅の字》

《二人で生きるんだ》

《僕と君とならば、どんな場所でも＿＿＿》











尾「＿＿＿＿＿同じく光に焦がれ、焼かれて落ちた女が居った故」


鏡花の目に光が無くなり、女性の顔は悲しみに溢れていた。

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