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36話:拘束されてしまったら1 ページ1

真っ暗だった部屋のカーテンが開けられた。


差し込んで来た太陽の眩しさに思わず目を瞑る。



「梅、その者を離しなさい」


透き通る声の持ち主の言葉とは裏腹に腕に込められる力と壁に押さえつけられる力は強くなる。



「梅、姫様の命令です!お止めなさい」


別の声がすると、腕と口元に回っていた手がパッと離された。


ようやく自由になった私は先ほどまでの息苦しさに咳き込む。


少しのあいだ息を整えると顔を上げて、助けてくれた人物へと振り向く。



そこには予想通り凛様の姿があった。



彼女は噂を元に紅炎様のお部屋を出入りしている女官を探している。



正直、話すのが怖い。


顔は見られなかったが、彼女には一度紅炎様と居るところを見られている。



とは言え今回は彼女に助けて貰った。





「………あ、ありがとうございます」



きちんとお礼を言って、丁寧な動きで頭を下げる。





けれど返ってきた言葉は驚く程に冷酷なものだった。




「何か勘違いしてないかしら?」



「え…?」


顔を上げて彼女を見れば勝ち誇ったような笑みで私を見下ろしていた。




「アナタをここへ連れ込んだのは(わたくし)よ」


「へ………?」



凛様が?


私を連れ込んだ?




「アナタでしょ?先日、紅炎様の腕の中にいた女官は」



「ぁ………」




どうしよう。


気が付かれた?


でも、どうして?


顔は見られていない筈なのに………




急な事で頭が付いていかない。


焦る頭で考える私に一歩、凛様が近づく。


それに合わせて彼女の長く真っ直ぐと伸びた黒髪がサラリと滑らかに揺れる。



煌帝国とはまた少し違う異国の和装を身に纏った上品なお姫様。


一言で表すなら美少女。


そんな彼女は世の女性から見ても美しいであろう姫君。


それなのに私が彼女を怖いと思うのは、きっと紅炎様との関係を疑われているからだ。




「…姫君、何のことでしょうか?」



もしかすると、姫君もまだ私だと確信した訳ではないかも知れない。


そんな望みを掛けて凛様に尋ね返した。



すると、彼女は口元を袖で隠して上品に笑う。



「ふふふっ。惚けてもムダです。私の使いの者が目撃しているのですよ。アナタが紅炎様のお部屋から出たところを」


そう言って彼女がいつの間にか後ろに控えていた3人を振り返る。

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設定タグ:マギ , 煌帝国 , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ミヅキ | 作成日時:2020年9月30日 18時

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