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蝉「こっち……おいで」
差し伸べられた手に腕をのばすと、触れるか
触れないかの距離、カラダが吸い込まれるよ
うに抱き寄せられた。
トク…ン
鼓動を耳で聴くのは初めてかもしれない。
いつも手荒に扱われてきたからかな。
彼の手のひらがこんなにも大きかったなんて
初めて知った。
ふふ、今さら "初めて" だって。
どんなつきあい方してきたの?
って感じだよね。
慣れない体勢のまま、
どのくらいの静寂を過ごしただろう。
キスで押し倒されたベッドの上、頭上で両手
をまとめあげられるわたし。
黒く染めたはずの髪は色が抜け始め銀髪が見
え隠れしていて。
その頭を両手に抱え胸元に誘うと
「っ………ぁ…ッ」
怒り、哀しみ、不安、慈しみ
ない交ぜになった幾つもの感情が彼と繋がっ
た瞬間、一気に解き放たれた。
***
息で白く曇ったガラス窓には背中を仰け反る
シルエットが映し出され、
この日の夜、互いの身体を惜しむかのように
わたしたちは何度も何度も求めあった。
・
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時