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・
「いつからそこに? 居るなら声かけて……」
言葉に詰まったのは彼がそこに居たからでは
ない。つい数分前、クローゼットにしまった
はずの
「どうして……それ…」
キンモクセイの匂いのするジャケットを
ーーーー彼が手にしていたからだった。
***
涼介「何があった。話して?」
その日、夕飯は食べなかったと思う。
料理の手を止めリビングに場所を移すと、
嗚咽するわたしを涼介は強く抱きしめてくれた。
涼介「ほら、落ち着けって。呼吸して」
***
蝉から涼介へ……
新しい自分に生まれ変わり、表で生きていく
決意をしたばかりの彼。
ようやく回り始めた人生の歯車を止めるわけ
にはいかないと、胸の奥底に閉じ込めていた
はずの孤独の念が…
嘘偽りない眼差しと
安らかな肌のにおいで
「うっ………涼介っ…!」
一気に解き放たれた。
「ごめんなさい。わたし……」
・
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時