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同棲を始めてまだ間もない頃だった。
警戒心の塊のような彼と何とか心の距離を縮
めたい。
そのためにはどうすればいいか、考えた。
でも言葉にしたところで彼はきっと信じない。
思考を凝らした末の決断、
それが彼が手の甲に施した絵柄と同じタトゥ
ーを自分に刻むことだった。
蝉「しかも "これ自分で彫りました"
とか言われた日にゃ…一流企業の秘書さんの
裏の顔、半端ねーな」
「あはは! 誰も近寄らなくなるよね」
街の喧騒に向けた高笑いは、
社会的な人間たちからすれば負け犬の遠吠え
にしか聞こえなかったかもしれない。
でもそれで良かった。
その歪な優越感がわたしたちには…
ーーーー心地良かったから。
***
猛暑が続く真夏の熱帯夜、
羽を振るわせ啼き狂う虫の音を聴きながら毎
晩のように体を激しくぶつけ合う…
二人で過ごした
初めての夏は
そんな熱い記憶ばかりだった。
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作者名:知夏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/972e809caf1/
作成日時:2016年3月18日 23時