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(↑続き) ページ6

(続き)

 女子のことを考えていたところを観察されていたという点では,確かに気恥ずかしいところもある。

 でも,立花が来ないという状況から,ただ立花本人を連想しただけだ。その流れに不自然な点はないはず。



 それなのに,なぜか黒木の視線に耐えられない。



 妙な汗をかきそうになったところで,若武がいよいよ観念した。

 「俺,前の休み時間にアーヤに会いに行ったんだよ。菜穂ちゃんがどうだったか尋ねにさ。」

 そうして休み時間に立花と交わされた会話を再現させる。

 若武が静かになったタイミングで黒木が一つため息をついて,背もたれに体を預けた。

 椅子が嫌な音を立てる。

 「なるほど。それならアーヤが今日の集合について,なくなったと思いこんでも無理ないか。」

 思った以上に普通の声色だったから,そっと黒木の様子をうかがう。

 そこには,少しだけ寂しそうにしている男がいるだけだった。

 「そういう理由なら,仕方ないよね。むしろ明日なら,アーヤも結果を教えに来てくれそうだし。」

 小塚がホッと胸をなでおろす様子に,無性に安心させられる。



 ――そうだ。きっと,何でもない。



 *



 結局俺らは,自分たちが安心できる理由に飛びついただけであって,真実にたどり着いたわけじゃない。

 無理やり納得しようとした期待は,次の日にあっけなく覆される。

 最初の5分の休憩時間に,黒木がものすごい形相で教室に駆け込んできた。

 「アーヤが秀明に来ていない。」

 その事実に,手足の指先が冷たくなるのを感じた。

 何でだ。

 昨日は来てたんだろ?

 若武に会ったんだろ?

 会話もしたんだろ。

 確かに若武の色ぼけた頭じゃ立花の様子まで気が回らなかっただろうけど,それでも具合が悪そうならさすがに気づくはずだ。

 だからおそらく,体調不良の可能性は低い。

 それなのに大事な活動にも,塾にすら来ないなんて。

 ――立花に,何が起きている?

 停止しそうになった思考は,直後に叩きつけられたような音で息を吹き返した。

 のろのろと視線を移すと,小塚を引きずるようにした若武が,黒木の後ろでドアを乱暴に開けきったところだった。

 「全員,カフェテリアに集合!」

 有無を言わせないかのような瞳が,前髪の隙間からギラリと光る。



 異論はなかった。

(↑〃)→←「はつこい〜」より,とある場面の上杉君



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いしとせ(プロフ) - HUMAさん» 初めまして,HUMA様。コメントありがとうございます! 好きと言っていただけて,ものすごく嬉しいです。応援ありがとうございます,頭の中の話を全部形にできるよう頑張ります! (2017年1月31日 21時) (レス) id: 2e3c8fd945 (このIDを非表示/違反報告)
いしとせ(プロフ) - うみなさん» いらっしゃいませ,うみな様! おまけの翼は,うみな様のコメントが全ての始まりでした……おそらく,コメントいただけてなければ生まれることはなかったです(;・∀・) というわけで,こちらこそありがとうございました!m(_ _)m (2017年1月31日 21時) (レス) id: 2e3c8fd945 (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - こういう本編の裏側というか、そんなお話大好きです!いしとせさんの他の作品も凄く好きです。更新頑張って下さい、応援しています! (2017年1月30日 21時) (レス) id: c49a03c503 (このIDを非表示/違反報告)
うみな(プロフ) - いしとせさん» こんにちは。黒木くんと翼のバトル!もう、大興奮でした。翼の策略も、黒木くんの想いも、全てが 物語に沿っており、楽しませていただきました(*^^*) 前回のコメで 私がポロっと口に出したことを 小説にしてくださり、本当に 嬉しいです!! ありがとうございました(#^.^#) (2017年1月30日 20時) (レス) id: 6278f7cc78 (このIDを非表示/違反報告)
いしとせ(プロフ) - こんばんは,コメントありがとうございます。桜様も黒木君と翼推しなんですか! オトナな感じですね(笑) この2人のアイディアが出ればいいんですが……いろんな組み合わせを書いてみたいとは思っています。がんばります! (2017年1月15日 20時) (レス) id: 2e3c8fd945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いしとせ | 作成日時:2017年1月13日 21時

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