緞帳・引幕，あるいはオペラカーテンの裏側で シリーズ

「あいどるおうじ〜」より，とある場面の小塚君 ページ24

「アイドル王子〜」での，とある場面の小塚君



　ああ黒木？

　僕だよ，小塚。

　あのさ，相談があって電話したんだ。留守電なのは分かってたんだけど・・・。

　相談は，上杉のことなんだ。

　きっと黒木は，「上杉に好きな子がいる」って知ってると思って。

　僕ら，夏休みに伊勢志摩に行っただろ。

　そのとき上杉が，好きな子がいるって教えてくれたんだ。ああ，ちなみにそのとき若武はいなかったよ，念のため言っておくね。

　上杉，その時点ではその子について詳しく言わなかったけど，どれくらい好きなのかはよく分かった。この前の，好きな子のタイプの話が出たときは黒木も聞いてたよね。

　そしたら今日，安田プロダクションで少し緊張した場面があってさ。

　上杉が，アーヤを守ったんだ。

　僕は別のところに隠れていたから，どんなやり取りがあったかは詳しく分からないんだけど，そのとき上杉が何かしたみたいでさ。

　アーヤとの別れ際，彼女を追いかけていったんだ。

　「ちょっと待ってて」って言われたから，話の聞こえないところで様子を見てたんだけど・・・。

　ごめん，僕の勘違いじゃなければ，上杉の好きな子って，アーヤなのかなって思って。

　人間が好きじゃないって言ってる上杉が，自分から懸命に何かを伝えようとしてるし，表情も真剣だったんだ。

　伊勢志摩で話していたときみたいな，うっとりした顔もしてたし。

　でも，アーヤは気づかなかったみたいで・・・どこか上の空だったみたいだから，仕方ないのかもしれないけど。

　ついには，僕のところまで戻ってきて，ちょっとズレていそうなところを説明し始めちゃって。いや，確かにそこはそこで気になってたんだけどね。

　で，結局，上杉がヘコんじゃったんだ。多分，今もまだ立ち直れてないと思う。

　ねぇ，どうすればよかったんだろう。何だか僕のせいでもありそうで・・・。

　もしよければ，アドバイスをください。なるべく早くだとうれしいな。

　じゃあ，いったん切るね。

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