白鳥妻のだいぼうけん！

アルカナム(NOside) ページ8

NOside

理事長室。

パソコンで仕事を進めながら、白鳥は横目で私用のスマートフォンを気にしている。

その画面には、妻の位置情報と寝室にある監視カメラの映像が映し出されていた。

白鳥が仕事を始めてから一度もベッドから動かない妻に、白鳥の不安は増大していくばかりだ。

(今朝、唇に触れたときには熱はなさそうだったが……)

自分の唇を指で撫でながら、白鳥は時計を確認する。
普段なら、もう帰宅する時間だ。

今夜はギフトの培養状況を確認しようと思っていたが、明日にしよう、と白鳥は帰宅の準備を始める。



理事長室から出て、足早に帰宅しようとする白鳥の視界に、藤巻の姿が入った。
白鳥に用事があったのか、藤巻は白鳥に駆け寄る。

「あの、白鳥理事長……」

「急用ですか？」
「い、いえ……」

「でしたら明日にしてください。妻の体調が悪いようなので、私は帰ります」

白鳥の言葉を聞いた藤巻は、思わず笑いを漏らした。
その声を聞いて、白鳥は進めようとした足を止める。

「何ですか？」
「いえ、白鳥理事長は奥様のこと、大切に思ってるんですね」
「当たり前でしょう」

白鳥は当然のようにそう答え、藤巻から離れていく。

藤巻はそんな白鳥の背中を見送り、ポケットに入っていたメモ用紙を手に取った。

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