掃き溜めの星。

No.109 ページ10

ミサイルの影響で、アジトは瓦礫の山だ。
侵入者のお陰か、皆避難できてたらしい。
きっと、避難できていない方が珍しいだろう。

でも、何故そんな珍しいの中に、君が入っていないといけないんだ？

「…何してんの…早く皆の所行ってよ……」

なんとか瓦礫の山から助け出せたが、
腹部に大きな穴が空いている。足も折れてる。

多分もう、助からない。

「……死んじゃうのォ？」

分かっているのに、問い掛ける。まだ認めたくなかったのだろうか。

「…うん、死ぬ 確実に」

いつもあまり変わらない表情が、少しだけ和らいでいる。ほんの少し、笑っている。

「…死んじゃうんだ……」

繰り返す。何度も何度も、頭の中で、繰り返す。

「…緋斗」

名前を呼ばれて、目を見て聞く。

「…ボクの事、殺していいよ」

今まで、何度も試みてきた事を、許された。
何度も何度もチャレンジして、失敗して、またやっての繰り返し。
君はいつも、面倒くさそうな顔をして回避するけど、少しだけ、笑ってた。

やっと、殺せる。

君を、僕だけのものに出来る。

これからも、ずっとずっと、僕のもの。


君に、トドメを刺す。

君は何も言わずに、目を閉じた。
血が沢山出て、僕も返り血を浴びた。


数秒経って、君の瞳が、紫色の瞳が、白く染まった。

その瞳に光は無く、ただただボクを見る。

「…君は、僕のもの………」

また、言ってみる。

君はうんともすんとも言わず、ボクを見る。


ずっと願っていたことなのに、こんなに悲しいのは何故だろう。


涙が止まらないのは、何故だろう。

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