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□ 第53話 裏表のツギハギ従者 □ ページ3

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 バラトは未だに動揺している千秋を見ると「な?めんどくせぇだろ」と言った。いやいやそうじゃない。と千秋はバラトとパトラを見る。さっきの言葉だ。“前にも同じような事して鼻折られかけたの覚えてねぇのか”。つまり前にもキスではなくとも何かしらのスキンシップがあったのだ。

「時々いんだよこういう奴」
「私はバラトにしかしないわ。一途にバラトだけ想っているもの」
「時々いるってそんな淫らな…。まさか色んな人と…?」
「お前殺されてぇのか。されてもハグだっつのコイツがオカシイんだよ

 しかしやはり両思いという訳ではなさそうでバラトは不機嫌オーラが目に見えて漂っている。…好きでもない人にキスされて怒るくらいには正常なのか?とはいえ、とバラトはその尖った八重歯を剥き出しにして自分を見つめるパトラに向き直るとその首根っこを掴んで宙ぶらりんにした。

「てめぇ一人で来たんじゃねぇだろーな…つか犯罪者になってねーだろーな」
「すみませんバラト様。目を離した隙にお嬢様が」

 千秋はバラトの“犯罪者になってねーだろーな”という言葉に疑問を覚える。自分のような例外は置いておき、基本ここには犯罪者しかいないのでは?すると宙ぶらりんになったパトラを短髪の青年が軽やかに攫う。丁寧な物言いの割には顔がガッツリバラトを睨んでいる。パトラをお嬢様、と呼んでいる辺り執事かボディーガードか何かだろう。どうやらパトラに乱暴したことにご立腹のようだ。パトラはその青年をカエサルと呼んだ。

「お嬢様ダメですよ見知らぬ人にキスしちゃ」
「見知らぬ人じゃないわ!バラトも私を覚えていらっしゃったもの!3回目よ会ったのは」
「3回目でキスしたのかよ…おっと。一流のレディを目指していたのではないのですか?」
「一流にはまだまだ程遠いわ。けれど、バラトを愛するのにレディも何も関係ないもの!愛されるなら尚更だわ!」

 カエサルは口角を下げてつまらなそうに溜め息をつきながら話し、パトラの話を聞いた。明らかに「バカかコイツは」とでも言いたげな雰囲気である。従順な従者なのか主人を小馬鹿にしているのかよく分からない。恐らく本性は乱暴で思ったことを口にしないと気が済まないのだろうがそれを抑えている。まるで別の人格を無理やり縫い付けているようだ。ぞくぞくとやってくる新しい登場人物とバラトの関係性が全く読めず、千秋は眉間に皺を寄せた。

□ 第54話 憎しみ □→←□ 第52話 絶世の美女 □



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設定タグ:オリジナル , 小説 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!検討致します (2019年5月10日 18時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました!企画の検討お願いします! (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します! (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです!(ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……) (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろせ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月28日 22時

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